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点呼する惑星 (2)

Green Nerve 会員には新譜と一緒に会報25号も届いているであろう今日このごろ。
続きを書くといたしましょう。

点呼する惑星

しかし、今回のアルバムは非常にレヴューしにくいのである。
平沢進自身が微に入り細に入り、というか、微細過ぎてどの部分が拡大されているかわからなかいような、親切なんだか嫌がらせなんだかわからない解説を、サウンドと歌詞の両面でやっているので、どうも書きにくいのだ。
特にサウンド面などは、客観的事実も多く書かれているので、生半可なことは書けないのである。
そんなPhantomNotesに加え、さらに会報では、自問自答(ノリツッコミ)漫才のような全曲解説までしちゃているのであるから、なおさら書きにくい。
まあ、作り手の解説が常に「正解」とは限らないが、まだ読んでいない方は、まずはこちらを読むことをお薦めする。
noroom.susumuhirasawa.com/modules/phantom/

…はい。
読みましたか?

では、こちらのレヴューは主観で逃げることにする。

「相反する複数の要素が同居した奇妙な世界」は、サウンドでも表現される。
もう、地味なんだか派手なんだかよくわからない。
この多彩なひねくれ度合は、ここ10年で最高値を記録している(計測はあくまでわたしの体内)。
「白虎野」のようなキャッチーな曲を求める向きにはいかがなものかと思うが、これはかえって初期で去っていったリスナーを呼び戻すのではないか。
古い技法も新しい技法もすべて同じ面に並べられ、新しいサウンドを紡ぎ出す素材となっている。
もう不意打ちが当然の連続で、フツーの曲展開が続くとどこかからなにか出てきやしないかとどきどきする始末。
機関(からくり)屋敷に放り込まれた気分。
出てくる時に頭がおかしくなっているか正常に戻っているかは人次第。
お代は見てのお帰り。
まずはこちらをご賞味あれ。


王道楽土

85秒で巡る『点呼する惑星』ツアー

というわけで、以下、初聴雑感。

1. Hard Landing

異世界へのドアを開く、導入的インスト。
メガフォンから響く「点呼」のアラート。
テルミンのような、というか、カーロスのようなレトロで不安定なシンセ。
重厚なシンフォニーにティンパニ、コーラス。
曇天の惑星に大気圏突入し、宇宙から惑星へ。
いつの間にか別の曲になっているようだ。

2. 点呼する惑星

重厚なオープニングから一転、思わず笑いたくなる。
「徒労」「シーシュポスの岩」「賽の河原」といった言葉が浮かぶ、タイトル・チューンとなったSF仕掛けのジンタ。
平沢流「美しき天然」か(ぜんぜん違う)。
ヴィブラ・スラップ(キハーダ)やシロフォンといったおもちゃ楽器。
バックではシンセのヘンな音がこれでもかと効果音的に流れる。
重荷を背負ったかったるい気鬱な調子から一転し「天の声」のように典雅なメロディ。
同じ舞台上でまったく違うシチュエーションが展開される芝居さながら。
『キン・ザ・ザ』はもちろんのこと、テリー・ギリアム作品なんかも思い浮かんでしまう。
…って、実は『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』くらいしか観てないんだけど、ほんとは『バンデットQ 』あたりが近いのだろうか。

では、昼休み終了(笑)。

点呼する惑星 (1)

2003 蛮行と戦争の恐怖で制御される惑星 ―― BLUE LIMBO
2006 枯れシダ教に支配された世界 ―― Live 白虎野
2009 メガホン・タワーから日に1000回ものコール

今年の惑星は点呼する!!

Planet Roll Call 点呼する惑星
2009年2月18日発売
ケイオスユニオン(TESLAKITE)
CHTE-0046
01. Hard Landing
02. 点呼する惑星
03. 人体夜行
04. Mirror Gate
05. 王道楽土
06. 上空初期値
07. 聖馬蹄形惑星の大詐欺師
08. 可視海
09. Phonon Belt
10. Astro-Ho!帰還

平沢進の『BLUE LIMBO』『白虎野』に続く、ディストピア3部作(例によって勝手に命名)の完結篇。
その途中には、核P-MODEL名義の『ビストロン』という「番外篇」もあったわけで、21世紀の最初の10年はディストピアの告発と克服に充てられたとも解釈できる。
ひとつの契機となったであろう9.11も随分と遠い記憶となってしまった。

また本作は、ある「物語」をベースにしたコンセプト・アルバムでもある。
ただし、Phantom Notes に記されたセルフ・ライナーノーツによると、リスナーの自由な解釈を阻害しないよう、その「物語」はいったん解体され、アルバムにはその骨子と断片のみが残されたらしい。
平沢がアルバム制作後に断片を再構築した物語は次のインタラクティヴ・ライヴで明らかになる。


荒涼とした平地が果てしなく続く「点呼する惑星」。
文明の気配はなく、しかし不気味に並ぶ無数のメガホン・タワーは日に何度も点呼を繰り返す。
何処に居ようとも届く点呼の声に、その男の脳ははっきりとした「世界」を作り出す。
男はその「世界」に住んでいるのだと信じていたのだが…。
彼は、地図にはない地の果てを目指す旅に出た。


私はこのアルバム『点呼する惑星』を作るにあたって、ある物語を作った。
しかし、それは創作の地図として作ったに過ぎず、伝えたいメッセージとして在ったものでは ない。
これは音楽の作品である。物語は音楽の流れを整えるために解体され、断片化された。
まずは音楽として楽しんでもらいたいと思う。
「点呼する惑星」の物語は、リスナーの数だけ有っていいのだ。(平沢進)


(以上、オフィシャル・サイト NO ROOM より)
noroom.susumuhirasawa.com/modules/artist/rollcall.html

M10「Astro-Ho!帰還」が示すように、これは地球に帰還したAstro-Ho!の物語なのかと思い、うっかり「地球オチ」の名作ディストピアSF『猿の惑星』を思い出してしまったが、そう単純な話でもないらしい。
「Astro-Ho!」とは、99年にP-MODEL名義で公開されたMP3「Astro-Ho (narration Ver.)」に登場し、平沢が「宇宙の捨て子」と呼ぶキャラクタで、2006年には平沢進名義で公開された亜種音TV Vol.14「ASTRO-HO-06」で再登場した。
「宇宙の捨て子」からは「宇宙の孤児」という言葉も浮かぶが、ハインラインはあまり関係がなさそう(アルファ・ケンタウリは出てくるけど)。
平沢版「コンスタント」「トム大佐」「トーマス・ジェローム・ニュートン」と言い換えてもいいだろう。

作品のイメージに重要なヒントとなったのが、平沢が常にフェヴァリットに挙げるロシアSF映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』なのは言うまでもない。
さらに加えるならば同じロシアSF映画『惑星ソラリス』あたりか。

個人的に思い浮かべたSF映画に『ミクロの決死圏』がある。
この映画では潜水艇か宇宙艇のような乗り物が不思議な空間を旅するが、そこは宇宙でも海中でもなく、人間の体内なのである。
べつに「実は体内だった」オチというわけではないが、インナー・スペースもアウター・スペース同様に不思議な世界であることを幼児だった自分に教えてくれた。


あなたが人より遠くへ行けないのは、あなたが描いた地図のせいだ。


Phantom Notes 2009年1月22日 新譜世界断片高倍率拡大図7 より
noroom.susumuhirasawa.com/modules/phantom/index.php?p=116

結局、この世界を形作っているのは自分のイメージであり、自分の脳内イメージから逃れられない。
『マトリックス』などもそうだが、結局、ディストピアを形作っているのは、自分のイマジネイションなのである。
ジョン・レノンに言われなくても、養老孟司に言われなくても、そうなのである。
いや、言われてもいいんだけど。

これは「Live 白虎野」でもそうだったが、ディストピアから脱出するには「支配者を討つ」のではなく、自分自身と対決するしかない。
その意味では、平沢進というひとは一貫している。
恐怖のパレードも「キミの名の下に」やって来るのだ。
他人のせいなんかにしないのである。

『BLUE LIMBO』『白虎野』と続いたせいか、平沢進は陰謀論のひとだと思われている節もある。
陰謀論というのはSFのようなもので、通常の世界観とは違う、もうひとつの視点を得るという意味ではたいへん面白いし、フリー・エネルギーなんかと同様に平沢の想像力をかき立てるひとつの素材になったであろうことは想像に難くない。
ただ、平沢はオカルト信者のような「ロマンチスト」ではないし、そっち方面には意外なほど(残念なほど?)醒めた視点を持っている。
そんなに平沢進は「いい人」でも「おめでたい人」でもない。
そんなことは平沢リスナーなら百も承知だろう。
いや、性格が悪いわけではないが(笑)。

現実感を削ぎ落として、異世界での物語に仕上げているものの、そこには恐ろしい現実の鏡像がある。
とはいっても、ガチガチにシリアスなものはなく、主人公と思われる主観的存在を「バカじゃねーの」と天空あたりから見ている客観的存在がある。
きっちり組み上げた物語ではなく、積極的に穴だらけでバカバカしい。
これは『キン・ザ・ザ』を観たことがある者ならば納得の「質感」である。

点呼する惑星 (0)

さて、いよいよ明日は平沢進『点呼する惑星』の発売日である。
新譜は発売日前日には店頭に並ぶのが通例であるから、もう多くのリスナーがアルバムを手にしたことだろう。
発売日より前に入手することを、和製英語でフライング・ゲット、略してフラゲと言ったり書いたりするらしいが、略する前の和製英語ですら意味不明なのに、加えて略するともう何語であるかさえわからなくなる。
こういう元は隠語のような仲間内でのみ使っていた言葉が一般化するのは、自らが所属する閉鎖的な小さなコミュニティ内でしか通用しない言葉を「外の世界」でも無頓着に使うことから広がっていくのだろうが、きっとコドモかイナカモノなんだろうな。

そういえば流行語になった(させた)らしい、アラサーとかアラフォーとかいうのも、いかにもイナカモンの集まりの広告業界が言い出しそうなフレーズである。
そういえばキンクリとかロバフリとか略する不届き者がいるが、いったいなんなのだろう。
ピーガブにいたっては蔑称のような気さえするが、ここまでくるとちょっとだけ面白い。
そういえば一時期、ムスタングをマスタング、ムーグをモーグに言い換えたように、ピーター・ガブリエルをピーター・ゲイブリエルに言い換えようという動きがメーカ主導であったけれども、根付かなかったな。
それならば、ピーゲブか。
もう妖怪の名前だよ。
それより前に、レッド・ツェッペリンをレッド・ゼプリンと言い換えたほうがよいように思うが、福田一郎先生は喜んでも渋谷陽一先生は喜ばないだろうな。

話が逸れた。

今回は発売日にはレヴューを書き上げて、一気にレヴュー・コーナーに掲載しようと思っていたのだが、なかなかそうもいかない。
またいつものように、だらだらと思いついたことを書き綴って、忘れたころにまとめ直して、レヴュー・コーナーに載せることとしよう。

ごめんね、Firefox

メモリ・リークらしき現象に悩まされていると書いたが、どうやら真犯人は別なところにいたらしい。
グラフィック・ボードを取り替えたら、ウソのように怪奇現象は収まってしまったのだ。

ハードウェア的に故障したのか、ソフトウェアの不具合かはわからないが、Fedora8では問題なく、Fedora10にしてから問題が発生したということは、後者の可能性が高いのではないか。
もちろん、OS入れ替えのタイミングでたまたまハードに不具合が発生した可能性も否定できないが、ほかの環境で検証することなく、古いボードは物入れへ仕舞われてしまった。
いや、仕舞ったのは自分だけど。

Fedora(というかLinux全般?)のドライバ開発は nVIDIA GeForce ばかりに力が入っていて、ATi Radeon のドライバは性能が低かったり、不具合があったりすると評判が悪かった。
しかしながら、事務職である自分にはどうも GeForce は敷居が高いというか、ゲーマー御用達のイメージがあって、これまでは Radeon を使っていたのだ。
いや、 Radeon だってゲーマーが使ってるとは思うけど、自分が使っていたのは X300SE 128MB というロウ・エンド向けだし、使い始めたのは PCI Express になってからで、ほかに選択肢がなくなったからだ。
AGPやPCIの時代はMatroxのMillennium を使っていたし、ISAの時代は…S3 ViRGE とかだったかなぁ……覚えてないや。
確かに、Fedora8でも Radeon では Compiz なんかはフリーズしまくりだったので切っていたが、普通にGnomeで1600×1200表示するぶんには問題なかった。

であるのだが、こうしょちゅうXが落ちるようになったのでは、致し方ない。
とうとう nVIDIA の軍門に下ることになった。
といっても、原因がRadeonドライバと決まったわけではないので投資は最低限。
これまたロウ・エンド向け、いわゆるエントリー・モデルの 9500GT DDR2 512MB というやつ、しかもバルクだが、ゲームなんかまったくやらないので、これで充分である。
いや、ゲームなんかまったくやらないのであればオンボード・チップでよいではないかと言う向きもあるだろうが、1600×1200でワークスペース4面、しかもVMを使ったりするには、オンボードでは頼りないし、そもそも使ってるマザーボードにグラフィック・チップは載っていない。

結果として、不具合は解消されたのだが、ふだんの表示性能は、体感できるほど変わらないのが悲しい。
自分の作業的には前のボードのスペックで充分だったということか。
まあ、それでも4面のワークスペースを行き来するのは軽くなったし、Compiz も問題なく動くようになった。
いや、Compiz が動かなくても、仕事上は関係ないのだけど、まあ、気分の問題だ。

さて。
というわけで Firefox が真犯人ではなかったようなのだが、Flock に比べて Firefox が重たく、メモリ・リークと見られる現象が起きるのもまた確かなようなので、現在も Flock を使い続けている(余計な機能も多いのだが)。
ただ、Firefox もホームディレクトリ上の設定ファイルやプラグイン、アドオンの類をいったん全て消去したら、かなり動作は軽くなった。
ほんとはメジャー・ヴァージョン・アップの際にはいったんそれらを消去して、バックアップから復元すべきらしいのだが、めんどくさいので1.xあたりからずっとそのままにしていたのがいけなかったらしい。
というわけで、Firefox よ、疑って悪かった。

VirtualBox は Amigan のために

VirtualBox 2.1.2 がリリースされた。
2.1.1 がちょっと不安定な気がしていたので(気のせいかもしれないが)今回はちゃんとまじめに Changelog を読んでみた。
そして、目を疑った。

# VMM: fixed guru meditation for PAE guests on non-PAE hosts (AMD-V)
# VMM: fixed guru meditation on Mac OS X hosts when using VT-x
# VMM: fixed guru meditation when installing Suse Enterprise Server 10U2 (VT-x only; bug #3039)
# VMM: fixed guru meditation when booting Novell Netware 4.11 (VT-x only; bug #2898)

www.virtualbox.org/wiki/Changelog

……や、guru meditation って、それって一般的なPC用語じゃないでしょ。
Amigaユーザと平沢進リスナ以外、わからんでしょう。
もともとはドイツのヴェンチャ企業かもしれんけど、今やサン・マイクロシステムズでしょう。

やっぱりな、ドイツで妙なものを開発するのは、Amiganか。
VMのご先祖たるエミュレータはAmigaの十八番だもんな。
詳しく調べたら、UAEやAmithlonの開発スタッフがいるかもね。

リーク・リーク♪ メモリ・リーク♪

リーク、といってもP-MODELは関係ない。
このところ、メモリ・リークらしき現象に悩まされている。
PCを操作中に急激に動作が重たくなり、しばらくするとフリーズしてしまうのだ。

Fedora10にしてから起こった現象であるが、Fedora10関連のBBSで同様の現象は報告されていないし、Fedora10全般に起きる現象なら今ごろ大騒ぎになってるはずなので、たぶん個別の環境に起因する問題なのであろう。
システム・ログを見てもその痕跡がないので、システム内部でどういう現象が起きているか、その原因がなんなのか、よくわからない。
ハードウェア的な問題かと Memtest86 でメモリを、DFT (Drive Fitness Test) でハードディスクをチェックしてみたが、エラーはなし。

いろんなアプリケーションを停止したりして調べてみたのだが、どうも単独犯ではなく、複数犯のようで、こいつが悪い! という原因の特定ができない。
いちばん怪しいのが Atok X3 for Linux で、次が Firefox3 であり、どちらも以前のヴァージョンでメモリ・リークの前科がある。
Sylpheed (メイル・クライアント) で文字入力中にフリーズしたこともあるので、ほんとは Atok をまず止めるべきなのかもしれないが、別なIMにすると仕事にならないので、これを止めるのは最後にしたい。

Firefox3 にしても、本体に問題があるのか、プラグインに問題があるのかわからないので、プラグインやアドオンの類をすべて無効にしてみた。
Flashのプラグインも過去にメモリ・リークの報告がある。
www.bub-site.com/archives/2005/09/000386.html

Adobe製品は伝統的にメモリ管理がなっておらず、野放図にメモリを喰いまくる習性があるので、Adobe Reader や Adobe AIR なんかもかなり怪しい。
あとは、Compiz (デスクトップの表示効果拡張) とかバックアップ・ソフト FlyBack (rsyncのGUIフロントエンド) とか KFTPGrabber とか、挙動が怪しいものはいろいろあるが、そういうのは切ってしまっても仕事上差し支えない。

Firefox本体やプラグインに問題がなくても、JAVAスクリプトなどによってメモリ・リークを引き起こされることもあるらしい。
Firefox にはメモリ・リークをチェックするプラグインがあるので、それを入れてみた。
Leak Monitor
addons.mozilla.org/ja/firefox/addon/2490

そうしたら、出るわ出るわ、もうしょちゅうポップアップするのでうざくて使えないほど、メモリ・リークのアラートが出まくる。
Firefox本体の問題ではなく、表示したサイトのスクリプトに問題があるのかもしれないが、やはり Firefox の使用が原因のひとつであるのは間違いない。
にしても Firefox の代替ブラウザといってもなあ。
Opera は動作は機敏だし、悪くはないが、プラグインが貧弱なので、見られないサイトが多い。
テキストと写真程度のHTML文書をローカルで見るなら Konqueror もいいのだが、やはりWebサイトを見て回るには不便だ。

そこで行き当たったのがこの記事。
jp.techcrunch.com/archives/firefox-3-beta-1-the-memory-use-says-it-all/
早速 Flock 2.0 をインストールしてみた。
flock.com/

Flock は、Firefox をベースに開発されたブラウザで、Firefox のプラグインやアドオンのほとんどがそのまま利用でき、インストール時に Firefox のブックマークや蓄積された個人情報を簡単に引き継ぐことができる。
Flock 2.0 は、Firefox3 がベースになっており、今のところまだ英語版しかないが、Firefoxユーザなら問題なく使えるだろう。
ウリはSNSやブログ、ソーシャルブックマークなどの利用がより便利になった「ソーシャルWebブラウザ」とのことであるが、個人的にはそういう附加機能はどうでもよい。
www.atmarkit.co.jp/news/200711/05/flock.html

インストールしてみて、Firefoxより動作が軽快であることがすぐにわかった。
メモリ使用量自体は少なくなく、タブを20とか開いていると180MBくらいはいってしまうが、Firefox3よりはるかに動作が軽い。
そして、悩まされていたメモリ・リークらしき現象の起きる頻度は激減した。
メモリ・リークらしき現象がまったくなくなったわけではないが、我慢できる程度に減った。
Flock の開発には Nautilus の開発元だった Eazel のスタッフがかんでいるというのも納得である。
d.hatena.ne.jp/keyword/Eazel

ハードディスクが止まる前に

さて、Psionパーツが届かないので、正月休みには別なことで時間を潰すことにした。
ラップトップPCとヴィデオレコーダのハードディスク換装である。
仕事か読書でもすればよかろうと自分でも思うのだが、インフルエンザから生還したばかりで、そのような生産的で向上心のあることはする気にならないのである。

インフルエンザ(A型)というのは初めてかかったのだが、検査をしていなければ風邪のひどいやつだと思っていたであろう。
世に言うほど違いはない。
しかも、診察した医師は、大きな総合病院のくせして「タミフルはおすすめしない」だの「アメリカじゃあんまり使ってない」だの「たいして効かないのに日本だけ」だのと、まるで陰謀論者のようなことを言う(笑)。
「いや、薬自体は問題ないんだけど」と、とってつけたように言うところがまた怪しい。
そんなにオススメされない薬ならば飲まないでおいておくことにしたのだが、それでもひどい症状は1週間も経たずに治まってしまった。
予防接種もあまり効かないらしいし、インフルエンザってなんなんでしょう。
風邪のひどいやつなんじゃないでしょうか。

話が逸れた。
ハードディスク換装である。
ラップトップPCもヴィデオレコーダも、ユーザ自身がHDを換装するような仕様にはなっておらず、勝手に換装するのは保証外である。
しかし、どうせどちらも保証期間は切れている、構うことはない。
ヴィデオレコーダのほうはたまにハングアップしたり、HDが異音を発したりする。
このままではお亡くなりになる日も近そうで、施術は急がなくてはならない。

ラップトップPCのほうは、壊れる予兆があるわけでないが、購入時のカスタマイズでけちってしまったのでOSをデュアルブートにするには容量が少なく、また2年前の製品なので回転数やバッファなどHD自体の性能も低く、どうも動きが鈍い。
この機種は、HDの換装はCPUの換装よりも遙かに予算がかからないうえに、体感速度の向上という意味では効果的と言われている。
この際だやってしまおう。

こういう時に便利なのは、やはりインターネットで、分解の仕方だのヴィデオレコーダの裏メニュー(保守メニューとかサービスメニューとかメインテナンスメニューとも言う)の呼び出し方だのといった情報がいとも簡単に手に入る。
…いや、非合法なことをやっているわけではないのだが。

というわけで、ラップトップPCのHD換装は無事完了。
これを機会にFedora10の64bit版を入れてみることにした。
めったに使わないVistaは再インストールも面倒なので、パーティションごとコピーしたのだが、BIOSにシリアルナンバが入っているらしく、OSのアクティヴェイションをやり直す必要もなかった。
Fedoraは違うヴァージョンにしてしまったので単純比較はできないが、鈍亀Vistaはかなり動きがよくなったようである。

ヴィデオレコーダのほうだが、これが実はまだ終わってない。
中にたまった録画番組の整理に手間取っているのだ。
これもHDのコピーができたらどんなにラクかと思うのだが、果たしてどんなファイルシステムになっているのだろうか。
まさかNTFSやVFATってことはないだろうし…と思って、ちょっと調べてみるとext系という確証のない話がひっかかった。
換装したらLinuxでマウントできないか試してみよう。

税関はいつまで休んだか

インフルエンザのおかげで予定外に長く取ることになってしまった正月休みの楽しみにと、壊れてしまった Psion Series 5 の修理をすることにした。
もちろん、そんなもののパーツは国内で普通に売られているわけがないので、海外(イギリス)から買うことになる。
しかし、ちょっと考えが甘かった。
郵便物の通関を行う税関はお役所であり、12/27から1/4までの年末年始はたっぷりとお休みになるらしいのである。
郵便物の通関業務が日曜祝日や土曜午後が休みということは知っていたが(これも初めて知った時は驚いた)まさか、9日間にわたって休もうとは思わなかった。
おかげで、元日に成田に着いた荷物は今日(5日)まで寝かされるはめに。
ネットでトラッキングしたところ、ようやく本日昼に通関を終え、現在は近所の配達局まで輸送中である。

ちなみにに、12/27に東京からドイツへ向けて発送した荷物は、12/29にフランクフルトへ到着し、ちゃんと1/2には配達されている。
生活習慣の違いはあるとはいえ(向こうはクリスマスに休むだろう)日本のお役所ももう少しなんとかしてもらいたいものである。
郵政民営化でサーヴィスが向上しても、これでは意味なしである。
せめてEMSくらいは、休日関係なく通関業務をすべきではなかろうか。

これが趣味のものであったからまだいい。
仕事関係であれば、EMSなんぞ使わずUPSなりFedExなりDHLなりを使うだろう。
それらのいわゆる国際宅配便は、通関業者も兼ねているので、休日も関係なく通関業務を行っており、荷物を寝かせるようなことはしない。
EMSより割高とはいえ、ビジネス用途なら背に腹は代えられない。

そういえば、昨年の平沢進のライヴ PHONON 2551 で使った Musical Tesla Coil Zeusaphone は、本番3日前になってようやくリハーサル・スタジオに届いたのだが、もし FedEx を使っていなかったら本番に間に合わなかったかもしれない。
輸入代行業者(笑)としては、実にはらはらさせられた。
国内では極めて珍しいブツであったため、通関に引っかかって中身をチェックされることになったが、通関を終えた荷物はいちはやく引き取りたいむね相談すると、配達先の変更だの、特別便だのとさまざまなオプションを用意してくれた。
もちろん有料だけど。
パーツごと4個の箱に詰められた Zeusaphone が届いた時には万歳三唱したものである。

Zeusaphone の制作者によると、テスラ・コイルを楽器としてライヴで使用したミュージシャンは、世界で平沢進が初めてなそうである。
それもそのはず、Zeusaphone 自体が売れたのもこれが初めてらしい(笑)。
ただでさえ怪しいテスラ・コイルを「電子楽器」だと言い張って、よく通関をパスしたものである。
テスラ・コイルで「演奏」したわけではないが、日本におけるテスラ・コイル研究者/パフォーマの第一人者、薬試寺美津秀さんが作った巨大テスラ・コイルがチューブのコンサートで使われた例はあるそうで、ひょっとすると、それが「前例」になったのかもしれない。

通関をパスしたとはいえ、Zeusaphone が果たしてほんとにネット上の映像で見たようにバリバリ働いてくれるのか、組み立ててスウイッチをオンした途端に感電や電磁波で黒こげにならないか、たとえ派手に動いてくれたとしても会場側に「やめてくれ〜!!」と言われやしないか、などなど心配したが、結果から言えば大成功である。
にしても、紙切れ1枚というAmigaの周辺機器並みに簡素なマニュアルで、よくぞちゃんと組み立てて稼働させられたものだ。
感電を恐れずMIDI機器を接続・調整してくれた音響スタッフに感謝。
もちろん、最終的にサウンドを奏でたたのは演奏者自身なわけで、いくらAmigaで慣れているとはいえ、コンピュータのハングアップももろともせず、変態な機器をよくぞ使いこなしたものである。

今回はステージの広さの都合で、ファラデー・ケージは125cm四方、高さ310cmというサイズに縮小されたが、本来は250cm四方であり、放電の規模もケージのサイズまで大きくなる(予定)。
次の活躍が楽しみである。

VMware Workstation 6.5 は浦島太郎を助けたか

VMwareWorkstation から VirtualBox への乗り換え理由として、Linux版ではカーネルのヴァージョン・アップのたびに VMware のモジュールをコンパイルせねばならず、OSやカーネルのヴァージョンによっては、コンパイルに失敗するということを書いた。 しかし、実は2008年9月23 日リリースの VMware Workstation 6.5 からは vmware-config.pl が廃止され、モジュールのコンパイルはとっくに不要になっていたのである。 VMwareWorkstation のライセンスはは5.5xまでしか持っていなかったため、6.0にアップグレード後、その試用期限が切れてからは、無料の VMwarePlayer で用を済ましていたので気づかなかったのだが、とんだ浦島太郎である。 試しに VMware Workstation 6.5.1 をインストールしてみると Fedora10 でも問題なく動作した。 RPM版のほか、.bundle という拡張子のヴァージョンがあり、こちらはWindows版のようなインストーラが起動する。 ライセンス料を払ってまた VMwareWorkstation を使ってみてもいいかな、と思ってゲストOSのWIndowsXPを起動しようとしたら、なんと仮想ハードディスクのファイルが壊れていた(苦笑)。 これは、しのごの言わずに VirtualBox への乗り換えろという天の思し召しだろうか。 そういえば、VirtualBox ではVMwareで作成した仮想ハードディスクを使用したりもできるのだが、XPが壊れていたので Windows98 で試してみたところ、確かにマウントも起動もできた。 しかしながら、VirtualBox には Windows98 用のドライバがないため、起動ディスクとして使うのは現実的ではない。 (重たくて使えたもんじゃない)

VirtualBox 2.1 はブリッジしまくり

Linux関連の話題ばかり続いて恐縮だが(って誰に?)
VirtualBox 2.1 がリリースされ、ブリッジネットワークの設定が簡単になったらしいので、アップデートしてみた。

VirtualBox 2.1
www.virtualbox.org/
www.sun.com/software/products/virtualbox/
sourceforge.jp/magazine/08/12/18/0315231

ホストは Fedora 10 だが、2.0x同様RPMパッケージは Fedora 9 用しかないのでそれを入れる。
アップデート後は、ドライバを再セットアップし、ネットワークを再起動しておく。


# rpm -Uvh VirtualBox-2.1.0_41146_fedora9-1.i386.rpm
# /etc/init.d/vboxdrv setup
# /sbin/service network restart

VirtualBoxの起動後、設定ファイルの更新は自動的に行われる。
旧設定ファイルを保存するかと親切にきいてくるので、念のため保存しておく。

で、その結果。

……ああ VirtualBox のインストールは、2週間待てばよかったのことよ。
さすれば2.0xのような余計な苦労はしないですんだというのに。

ほんとに簡単になっているのだ。
マニュアルも大幅に書き換えられていて、Linuxでは bridge-utils をインストールしろとか、そういう記述は一切ない。
というか、コマンド(CUIのプログラム)もけっこう変わっているので、2.0xのような設定はそもそもできない。
download.virtualbox.org/virtualbox/2.1.0/UserManual.pdf

The way Host Interface Networking works has been completely rewritten with VirtualBox 2.0 and 2.1, depending on the host operating system.
From the user perspective, the main difference is that complex configuration is no longer necessary on any of the supported host operating systems.

Note: Even though TAP is no longer necessary on Linux with the new Host Interface Networking of VirtualBox 2.1, you can still use TAP interfaces for certain advanced setups, since you can connect a VM to any host interface – which could also be a TAP interface.

With the new mechanism, to enable Host Interface Networking, all you need to do is to open the Settings dialog of a virtual machine, go to the “Network” page and select “Host Interface” in the drop down list for the “Attached to” field. Finally, select desired host interface from the list at the bottom of the page, which contains the physical network interfaces of your systems.

ここに書いてある通りで、ネットワーク設定のダイアログを開くと、ネットワークデバイスが自動的にリストアップされているので、ブリッジする場合は[割り当て]で[ホスト インターフェース]を選択し、使用するデバイスを選択すればよい。

VirtualBox2.1 net

わたしの環境では、上のキャプチャのように eth0 と virbr0 というデバイスがリストアップされている。
(2.0xで設定した br0 と vbox0 は削除してしまった)
virbr0 というのは、libvirt がインストールされていると自動的に作成されるブリッジデバイスらしいが、こちらを使うことも可能。

これでまた VMwareWorkstation に一歩近づいた!?