壊れる

こわれる。
そういえばそんな曲があったなあ…という遠い記憶はさておき、なぜに故障は呼応するか。
カセットテープのポータブル録再機に続き、今度はサブのPCが起動しなくなってしまった。
どうやら電源が逝ってしまったらしい。
なにしろひとから貰い受けた古いキューブ型PCである。
壊れてしまっても不思議ではない。
しかし、小型の特殊電源は故障しやすいくせに高価であるからして、今さら電源を交換して蘇生させる気もしない。
余りパーツで組める小型のATXケースでも買うことにする。

走行系がイカれてしまったカセットテープのポータブル録再機は、もう交換用のパーツがないかもしれないが、とりあえず修理に出すことにする。
ほかにもカセットデッキはあるが、ライン入出力のあるポータブル録再機はなにかと便利なので、できれば手許に置いておきたいのである。
どうせ壊れるなら大型のカセットデッキのほうが壊れりゃよかったのに…とか言ってるとほんとに壊れそうだ。

というわけで、カセットテープのポータブル録再機、端的に言うならばレコーディング・ウォークマン(プロ)の持ち込み修理およびPCケース購入という2大目的をもって秋葉原へ向かったのであるが、お目当てのPCケースと電源の専門店は、よくわからない同人系の(?)グッズ・ショップになってしまっていた。
ネットで物色したケースの実物を見てみたかったのだが、数軒ハシゴしても見つからない。
潰れたあの店だったら、きっと置いていただろうに徒労である。
(いま調べてみたら、2月に閉店して他店舗と統合されたらしい)
ソニーのサービスステーションまでなくなっていたら、なんのために秋葉原へ来たかわからないが、さすがになくなっていなかった。
いや、電話で修理の事前相談したからあるはずなんだけど、古炉奈も閉店するし、まんだらけは開店するし、こういろんなショップがなくなったりできたりすると不安になるでないの。
テレコ(おお懐かしい響き!!)を修理に出し、言い訳がましくDVDメディアを購入し、秋葉原をあとにした6月の土曜日であった。

周年 その2

「周年」というタイトルで期待して読んだら椅子の話でがっかり、という方もいるかもしれないので、一応書いておこう。
そう。
2009年は「P-MODELデビュー30周年&平沢進デビュー20周年」なのである。
というよりも、個人的には「音楽産業廃棄物10周年」という感慨のほうが強い。
「P-MODELデビュー20周年&平沢進デビュー10周年」という文章をさんざん書き散らして(散らした…は語弊があるな)から、もう10年が経ったのだ。
恵比寿の事務所が思い出されることであるよ。
まあ、それだけなんだけど。

個人的な30周年記念事業としては、消えゆくメディアに記録された重要文献を保存し直す、ということをちょっとやってみた。
平たく言うと、カセットテープやMDに記録された音源をMP3化する、という作業だ。
ベータやVHSのテープをDVD化する作業は、1度チャレンジしてすぐ挫折してしまった。
めんどくさいんだもん。
だから今回のMP3化も、たぶん挫折するであろう。
それでも、15枚ほどのMDは仕事の片手間にMP3化してみた。
MP3レコーダをオーディオ専用機につなげる方法もあるが、それでは仕事しながらというわけにはいかないし、どうせMP3レコーダでダビングしても、PCにコピーして編集することになるので、最初からPCにMD録再機をつなげてリアルタイム・エンコードしている。
ちなみに使っているレコーディング・ソフトはこれ。
Audacity
audacity.sourceforge.net/

実はわたし、MDというものを日常的に使った経験はない。
書籍『音楽産業廃棄物』の編集時に、方々から収集したレア盤やライヴ・テープなどの資料用音源を整理するためにポータブルMD録再機を購入し、その後は『太陽系亞種音』の資料用音源の整理に使ったくらいである。
P-MODELのために買ったと言っても過言ではないだろう。

そういうわけでMDはめったに使用しないのですっかり忘れていたが、手持ちのポータブルMD録再機は内蔵電池だとばかり思っていたら違っていて、実はガム型の充電池なのであった。
でもって、数年ぶりに取り出してみると、案の定、液漏れしていた。
充電池の液漏れというとAmigaのマザーボードの死亡原因の第1位だが、その心配ばっかりしていちゃだめだったのだ。

MD収録音源を劣化することなくMP3化するには、光でデジタル接続すべきなのではあるが、残念ながら手持ちのポータブルMD録再機にはアナログのライン出力があるのみである。
またこの方法は劣化がないとはいえ、アナログ同様、収録時間と同じだけの時間がダビングに費やされるわけで、めんどくさいことに変わりはない。
そこで調べてみるとやはりあるんですね、USB接続でMDのデータを吸い出せる録再機が。

ソニー MZ-RH1
www.sony.jp/products/Consumer/himd-rec/
k-tai.impress.co.jp/cda/article/stapa/29128.html

スタパ齋藤氏も大絶賛であるが、わたしの場合、ダビングが必要なのはたかだか20枚程度で、しかもマスタはほかのひとが持っている。
そのために3万円も使う気がしない。
しかし、世の中にはそうしたニッチな需要に応えるひともいるようで、オークションには1週間2000円とか「レンタル」の形でMZ-RH1が出品されていたりする。
すごいな。
ま、それさえ面倒なので借りなかったけど。

今思えば、MDなんかじゃなく、最初からMP3にしておけばよかったのだが、アナログ・プレーヤとPCをつなげたり、それをMP3にエンコードしたりするのが非常に面倒だったのだ。
当時はまだポータブルMP3レコーダはなかったし、机上でカセットテープをMDにダビングするのですらめんどくさかったんだから。

今回はなんか「めんどくさい」の連発だな。
さて、こんどはカセットテープのMP3化でもしようかな、と思ったら、テープがからんでワカメになってしまった。
どうやら、かつて愛用したカセットテープのポータブル録再機も、これまた数年間使用していないうちに走行系がダメになってしまったらしい。
せっかく電池は抜いていたのに。
作業に入る前から挫折してしまったよ。

周年

先日(といってももう2週間も前か)天安門事件20周年というのをニュース番組で見ていて、そういえば……と思い出した。
今年は、株式会社ファッシネイション設立20周年であったのだ。
といっても特に感慨はないのだが、感慨にひたるべき事件が別に起きてしまった。
10年以上使い続けた仕事用の椅子が壊れてしまったのである。

アームレストにガタがきていたし、ウレタンがへたって座り心地も悪くなっていたので、そろそろ買い換え時期ではあったのだが、修理を試みたところ、トルクスのネジ頭を潰してトドメを刺してしまった。
ふだんは使うことのない固くなりがちな箇所のネジに潰れやすい材質のトルクスを採用するのはいかがなものかと思うが、これも寿命と思って諦めることにした。

ところで、愛着があるようなこと書いておきながら、その椅子のメーカなどはまったく覚えていなかった。
というのも、自分で探して購入した品ではなく、知人に「同じ椅子を2脚買ったんだけど、1脚は不要になってしまったから引き取ってくれないか」と売りつけられた椅子なのである。
ファッシネイション恵比寿時代の話だから、少なくとも10年前、もしかすると12年とかもっと前かもしれない。
デザインがいいので買い取ることにしたが、こだわりをもって選んだわけではないので、使っているうちに愛着がわいたという感じである。

椅子をひっくり返してみると「vitra」とある。

www.vitra.com/
www.hhstyle.com/cgi-bin/omc?port=33311&req=IPRODUCT&code=info_vitra

スイスの家具メイカーで、イプシロンやメダといったシリーズが有名らしい。
わたしが使っていたのはそれらより以前の商品でWebにも載っていないが、見た目だけでなく、座り心地もよく、各部調節機構も当時としては高機能だった。

さて、新しい椅子だが、ウレタンは蒸れやすくへたりやすいので、今回はメッシュ素材のものにしてみたかった。
メッシュ素材の事務用椅子と言えば、ハーマン・ミラーの元祖アーロン・チェアや、岡村製作所のコンテッサ、バロンといったあたりが有名どこである。
近年は買い物に関してまったく横着になってしまって、ネット通販で実物を見ることなく買ってしまうことが多いが、椅子はやっぱり座ってみなければわからない。
というわけで、ゴー・新宿、ゴー・大塚家具。
ちなみに大塚家具のショウ・ルームは、受け付けが必要で、案内人がついてまわるが、押しつけがましいことはなく、非常に好感がもてた。

試座してみて、気に入ったのは、やはりアーロン。
さすが名にし負うMoMA所蔵品である。
もうひとつは、コンテッサでもバロンでもなく、エルゴヒューマンという無名の椅子。
座った瞬間に身体が包み込まれるようで「おっ!!」という感覚があったのである。
今監督には悪いが(ってほどではないか)コンテッサは座ってみても、そういう「発見」のようなものはなかった。
椅子なんてものはもちろん体型によって合う・合わないはあるだろうが、大袈裟に言えば、エルゴヒューマンは身体が軽くなった気がしたのである。
「“意外と”いいですね」と言うと「みなさんそうおっしゃいます」と店員。

しかし、デザインが…なあ…。
エルゴノミクスなデザインというのは珍妙な外観を呈していることも少なくないが、どうも馴染めそうにない。
後ろ姿はよく言えばサイバー・パンク(懐)なのであるが、わたしはシルエットの美しいすっきりしたデザインが好みなので、こういうごちゃついたのは趣味ではない。
なんちゃってアーロンとか貧乏人のためのコンテッサといった酷評もあるようだが、メッシュ素材というだけで、デザインはぜんぜん似ていない。
むしろ似ていて欲しかった(笑)。
最大のウリである「独立したランバー・サポート」というのが外観上は奇異に見える。
デザインだけなら格下のブラントのほうがマシな気がする。
ごめんよ、呉耀全(Neil Wu)さん。

しかも、ブランド品を所有する快楽とは程遠いよくわからん製品である。
そもそもなにが怪しいって、メーカが不明なのだ。
日本やアメリカの輸入代理店の公式サイトはあるが、メーカの記載はない。
得体が知れないとはまさにこのこと。
www.ergohuman.jp/

調べてみると、どうやらエルゴヒューマンというのは2005年くらいに登場した商品で、デザイン(開発?)は台湾、メッシュなどの部材はアメリカ、生産は中華人民共和国本土、検品は日本ということらしいが、オフィシャルな情報はない。
なにか隠さなくてはならない事情でもあるのか。
台湾とかチャイナとかいうと、ひとによってはマイナスなブランド・イメージがあるからかもしれない。
しかし、ASUS, AOpen, ABIT, GIGABYTE, MSI, VIA….と、日ごろ接している素晴らしい台湾ブランドもたくさんあるではないか。
それともコンピュータと椅子では事情が違うというのか。
そりゃ違うよな。

問題はデザインに馴染めるかだなあと、考えること1週間。
結局、買ってしまった。
vitraの椅子は入れ替わりに引き取られていってしまった。

ブランド・イメージよりも自分の体感を信じたわけだが、果たして吉と出るか凶と出るか。
Web上でヘッドレストはかえって邪魔という意見を散見したが、確かにヘッドレストは前過ぎかも、とか早くも思っていたりもする。
気がついたら別なvitraに座っていたという事態は避けたいものである。

あ、マイナー・ブランドを応援するつもりで書いたのに、微妙な終わり方になってしまった。

ATOK X3 for Linux が GTK+ 2.16 に対応

こちらの記事で Fedora 11 Preview Release での ATOK X3 for Linux 使用において、変換候補の解説ウィンドウ表示に不具合がある旨を書いた。
また、あとになって気づいたのだが、Atokパレットから環境設定や辞書登録などのユーティリティを起動することもできないこともわかった。
しかし、こうした不具合はF11PRに限った話ではなく、GTK+ 2.16 を使ったシステムで起きる不具合だったようで、Ubuntu 9.04 でも同じような現象が起きていたらしい。
というわけで、ジャストシステムから’アップデート・モジュール配布のお知らせが来た。

▼ATOK X3 for Linux Ubuntu 9.04(GTK+ 2.16) 対応モジュール▼
support.justsystems.com/qadoc?QID=044668&m=jui4x01
(ファイルサイズ:約68KB)
─────────────────────────

【回避項目】
本モジュールの導入により、以下の現象を回避します。
…………………………………………………………………
・Ubuntu 9.04(GTK+ 2.16の環境)で、ATOK X3 for Linux の
電子辞典検索ウィンドウ、同音語用例ウィンドウ、解説ウィンドウ、
ATOKパレット(縦型に切り替え時)が正しく表示されない現象

ぱっと見で「Ubuntu 9.04」が目に入ったので関係ないかと思ったのだが、よく読むとGTK+の問題らしい。
試しに導入してみた。
インストーラなどはない。
ダウンロードしたファイルを展開するとできる /opt/atokx3/lib/client/jsgtkext.so を入れ替えるだけ。
念のためバックアップを取ってから差し替えたが、不具合が解消され、こうしてちゃんと動作している。

atrok_01atrok_02

こうしてアップデータを出してくれるのはありがたいが、最近のシステムにも根本で対応したニュー・ヴァージョンの ATOK for Linux のリリースが望まれる。
と、真面目に締めてみる。

Fedora 11 PR は動いたか (VI) DVD篇

今日から6月である。
当初の予定ではとっくに Fedora 11 が正式リリースされているはずだったが、5/26→6/2→6/9とのびのびになり、まだリリースされていない。
とはいえ、もうプレヴュー・リリースからは1か月以上が経ち、F11は自分にとってすっかり過去のこと(笑)になってしまっているが、DVDの扱いについてちょっと書いておきたい。

DVD/CDの作成にはKDEのK3bを利用している。
LinuxにはさまざまなDVD/CD作成のフロントエンドがあるけれど、いろいろ使ってみた結果、機能や使い勝手がいちばんいい感じなのがK3bで、ここ数年はずっとこれを使っている。
ところが、F11PRにしたせいか、ハードウェア環境を変えた(ドライヴは変えていないが)せいか、原因は定かではないが、DVDが焼けなくなってしまった。
そう頻繁に使うわけではないのだが、このままでは困る。
試行錯誤の結果「書き込みモード」が「自動」だとエラーが出るようで、ここを「DAO」に指定してやるとうまくいくことがわかった。
なんで?
よくわからんが、ローカルなハードウェア環境が原因の可能性も高いので、とりあえず放置してみる。
DVDドライヴ(いわゆるマルチドライヴ)は2台載せているが、もともと1台は不調というかダメダメだったので、買い換えて試してみようかと思う。

さて、もうひとつは、DVDの再生。
DVDの再生には、MP3などほかのマルチメディア関連技術同様、めんどくさい権利問題があって、多くの非商用Linuxディストリビューションでは、デフォルトではDVDの再生ができないようにしている。
特にFedoraなどプロプライエタリなソフトウェアを入れないことになっているディストリビューションでは、ここらへんは厳密だ。
とはいえ、いわゆるノン・フリーなソフトウェアも、サードパーティでパッケージ化されて配布されており、今は RPM Fusion あたりに集積しているので、YUMのリポジトリに加えておけば、さほど苦もなくDVDの再生もできる。
ここでDVDやCSSの規格そのものの問題は取り上げないけど、ちょっと古いがここらへんの記事が参考になるか。
www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/linuxtips/299playdvd.html
shino.pos.to/linux/css.html

ところが、ライセンス問題がいよいよこじれてきたのか、単にプレヴュー段階なので作られていないのかはわからないが、libdvdcssだけはFedora11用にパッケージ化されていないようなのだ。
しょうがいないので、自分でソースをRPMにしてインストールする。
いや、べつにRPMにしなくてもいいんだけどさ、気分の問題。

まずはここからソースファイルを入手。
download.videolan.org/pub/libdvdcss/1.2.10/
libdvdcss-1.2.10.tar.bz2 でも libdvdcss-1.2.10.tar.gz でもお好みで。
SPECファイルが同梱されているので、まずはrpmbuildでコンパイルしようとするがエラーが出る。

$ rpmbuild -ta libdvdcss-1.2.10.tar.gz
エラー: ファイル /tmp/libdvdcss-1.2.9.tar.bz2: そのようなファイルやディレクトリはありません

SPECファイルを見ると、古いlibdvdcss-1.2.9.tar.bz2のものをそのまま同梱しているようだ。
なので、tarボールを展開してlibdvdcss.specを書き換えて再圧縮する。
このあたり、今どきのディストリビューションはGUIでできるから簡単だ。

2行目
%define version 1.2.9
→%define version 1.2.10

23行目
Source: %{name}-%{version}.tar.bz2
→Source: %{name}-%{version}.tar.gz

再びrpmbuildするがまたエラー。

$ rpmbuild -ta libdvdcss-1.2.10.tar.gz

伸張ファイルの検査中: /usr/lib/rpm/check-files /home/kasiko/rpmbuild/BUILDROOT/libdvdcss-1.2.10-1.x86_64
エラー: インストール済み(ただし未伸張)ファイルが見つかりました:
/usr/lib64/pkgconfig/libdvdcss.pc

RPM ビルドエラー:
インストール済み(ただし未伸張)ファイルが見つかりました:
/usr/lib64/pkgconfig/libdvdcss.pc

なんだろ、と思って調べてみると、ファイル指定が足りないらしい。
lab.hde.co.jp/2008/10/-orz.html
2000.blog.so-net.ne.jp/2008-06-05-2

92行目あたりの以下のセクションに追加

%files -n %{libname}
(省略)
/usr/lib64/pkgconfig/libdvdcss.pc

めでたく rpmbuild が通って ~/rpmbuild/RPMS/x86_64/ 以下に次のパッケージができあがったのでインストール。
libdvdcss-debuginfo-1.2.10-1.x86_64.rpm
libdvdcss2-devel-1.2.10-1.x86_64.rpm
libdvdcss2-1.2.10-1.x86_64.rpm

DVDの再生だが、Fedora 11 には、マルチメディア再生フロントエンドがたくさんパッケージ化されている。
MPlayer系だけでも、GNOME MPlayer, SMPlayer, KMPlaye があり、ほかにも Xine, GXine, VLC, Totem, Kaffeineなどなど。
ざっと使ってみたところ、どれも一長一短あるが、Qt系のSMPlayerがいちばんいい感じなので、とりあえずはこれを使っている。
ほんとは Amaroc や Audacious にDVD再生機能ががあればいいんだけどな。

SMPlayer
SMPlayerはWindows版などもあるようだ
smplayer.sourceforge.net/