発掘原稿: Limbo-54 への道 (5)

インタラクティヴ・ライヴ「Limbo-54」とAMIGAの仕込みに関する発掘原稿です。
2002年のことを2003年になって思い出しながら書いているようです。
文章の最後に『来なかった近未来』より Video Toaster に関する解説を引用しました。
『来なかった近未来』には平沢進が Video Toaster を動作させるまでの顛末が描かれています。


Interactive Live 2003 への道 — その5 ToastScanがんばって篇

2002年7月1日、SoftwareHutからの荷物第2弾が到着しました。
返品から1週間とは素早いです。

  • A4000 motherboard
  • ToastScan x2
  • X-surf x2
  • Lyra PC Keyboard adaptor

マザーボードはいかにも中古という感じでけっこう汚く不安がかきたてられます。
一応、充電池は取り外され、ボタン電池ホルダにつけかえられていましたが、基盤には多少液漏れっぽい汚れがあります。
気を取り直して組み立てます。

マザーボードには、スペーサー(六角型オスメスネジ)も取り付けCyberStormをきっちり固定します。
CyberStormにはCPUファンも取り付けたことだし、あとはなぜか足りないドータボードのスペーサーを取り付ければカンペキでしょう。

CyberStormに搭載されていた8MBのSIMM x 4枚を16MB x 4枚に換装し、合計64MBに増設。
マザーボードのスロットにもMaxの4MB x 4で埋めます。
(後日、マザーボード上のメモリは不調の原因と見て外してしまいましたが)
SIMMの新品はとんと見かけなくなりましたが、手持ちもけっこうありますし、中古ならたくさん市場に出回っています。
(当時、16MBは1枚100円くらい、32MBは1枚800円くらい)

X-surf(クロスサーフ)ネットワークカードは2枚とも正常に動作しました。
ちゃんとインターネットにもつながります。

PARは操作方法を知らないのですがハードディスクとつないでみたところ、動作しているようです。
ただ、10GのHDのうち8Gちょっとしか認識していません。
これはいわゆる「8Gの壁」で、ボードの限界でしょう。
にしても、中古のPARをソフト付きといって売っていながらいながらソフトを添付しないHutにちょっと疑問だったのですが、DPS(Digital Processing Systems)のサイトで
ダウンロード可能だったのでよしとします(笑)。
ちなみにDPSはLeitch Technology Corporationに吸収されましたが、ブランドは残っています(*)。

*2003年当時の話

余談ですが、今年(2003年)某放送局の映像制作セクションへ取材へ行きましたら、WindowsでDPSのソフト(dpsVelocityかなんか)を使っていました。
非常に使い勝手がいいので重宝しているそうです。

さて、そうそうすべてうまくいくわけがないのがAmigaの常。
ToastScanの出番です。
ToastScanはSoftwareHutが開発した外付けのスキャンダブラ/フリッカフィクサで外観はACT(Apollo) MV1200とまったく同じです。
他製品に比べて画面が明るく、黒がボタった感じがしないので、第1印象はよかったのです。
問題はウリにしている、VideoToasterやGenlockとの共存で、それはライヴでの使用においても重要なポイントです。

VideoToaster(以下VT)の画面は問題なくPC用モニタに映すことができました。
VTは、単なる23pin→15pinのVGAアダプタでも種類によっては画面が乱れて映らなかったりするくらい神経質なハードなのでたいへん感心しました。
お次は、Genlockです。
SuperGenで試してみました。
SuperGenにはRGBのパススルーポートがついており、下記のように接続します。

Amiga(RGB)→SuperGen→(パススルー)→ToastScan→PCモニタ
|
(コンポジット)→TVモニタ

その結果は以下の通り。

  • スキャンダブラが機能せず、バイパス状態になる
    (ToastScanのBYPASSランプが点灯する)
  • 15kHz対応モニタに映してもフリッカが出て画面が乱れる
  • SuperGenからTVへの出力はキレイに表示する
    (A1200やA600のコンポジット出力よりキレイです)

試しにVideoスロットに挿すタイプの内蔵スキャンダブラ、コモドール製A2320(Amber)で試したところ、A2320のVGA出力、AmigaのRGB出力、SuperGenのコンポジット出力、
ともに問題ありませんでした。
SuperGenのRGBパススルーポートを使わないからかもしれません。
これではToastScanを導入した意味が半減です。

う〜む。

次回はSuperGenSXゲットへ動きます…しかし!?


『来なかった近未来』より

*Video Toaster

Video Toaster は1990年にNewTek社からリリースされたヴィデオ編集用のハードウェア/ソフトウェア。
AMIGAのVideoスロットに搭載する拡張ボードと、Switcher,Toaster Paint,Toaster CG,LightWave3Dというソフトウェアによるシステム。
映像ソースのスウィッチング、リアルタイム・エフェクト、映像の合成や加工、タイトル作成、ペインティング、3DCGの制作といったことがVideo Toaster搭載のAMIGAだけで可能になる。
非圧縮・無劣化で放送規格のクオリティであったため、小規模な映像制作会社やCATV局などで盛んに使われるようになった。
さらには、のちにリリースされたハードディスク・レコーディング・ボードのFlyerと組み合わせることでノンリニア編集を可能にし、DTV(Desktop Video)という分野を切り拓いた。
Video Toaster は1999年にはWindowsNTに移植され、現在は TriCaster という製品にその血脈が受け継がれている。
クリエータの人気を集めたLightWave3Dは、のちに単体でもリリースされるようになり、WindowsやMacintoshに移植され、現在も3DCG制作ソフトウェアの定番となっている。

movie.b-artist.co.jp/kiji/nikkeicg/dv199908-01.html

Newtek Video Toaster 2000
Newtek: Video Toaster
Video Toaster のSwitcher画面

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