ブラザーは編み機だけじゃないと今さら言ってみる

電気製品の買い物相談はよく受けるほうだ。
そんなに詳しいわけでもないのだが、家電は好きなので、自分で使うものではなくても買う気になってあれこれ調べるのは楽しいし、他人の買い物で自分の物欲を代償行為的に満たしているとも言える。
時に仕事に役立つ情報を得ることもある。

先日も、親戚から普通紙でコピーの取れる、電話兼FAXはないかときかれた。
そりゃあある。
2年ほど前に自宅で使うために似たようなジャンルで商品を探したことがあったので、その時に気に入った製品の最新版を薦めることにした。

シャープ UX-MF25CL
http://www.sharp.co.jp/products/phone/multi_fax/prod01/uxmf25cl/

これで最安値が17500円というから、いい世の中になったものである。
依頼主はPCを使わないので、プリンタ機能やスキャナ機能は不要なのであるが、家庭向けのいわゆるフラットヘッド型の場合、電話・FAX・コピーだけというのはどうもなさそうだった。

さて、他人にシャープを薦めていながら、実は2年前にわたしが買ったのは、シャープではなくブラザーの製品である。
2年前には、プリンタ・スキャナ・コピーの一体機に、さらに電話・FAXがつき、ネットワークに対応しているような家庭向け商品は、ブラザーしか出していなかったのである。
もちろん業務用のデカいものはいくらでもあったし、事務所では使っていたが、そんなものは家庭に置けない。
シャープはデザインも機能も気に入ったのだが、1台で済ませるには機能が足りなかったのである。
そこで、選んだのがこの機種。

830CLN
http://www.brother.co.jp/product/mymio/info/mfc830cln/

買う前に調べたクチコミ情報には一体型はよくないとか、プリンタ・スキャナ・コピーと電話・FAXは別々に買うべきだという話もあり、実際、この機種のプリント画質は貧弱だが、わたしは自宅で写真のプリントなんかしないし、モノクロでもかまわないくらいなので、充分なのだ。
(そもそもプリント自体あまりしないので、自宅にプリンタがなかった期間も長い)
ただ、評判通り(?)子機の音質は悪く、ヘンな反響音があって違和感を覚えたが、アナログなのでしょうがない。
買ったすぐあとにデジタル子機の新製品が出たので、その点は改善されたであろう。

無線LANにも対応した現行機種はこちらのMFC-870CDN
http://www.brother.co.jp/product/mymio/info/mfc870cdn/

さて、それでは、他社からも同機能の製品が出ている今、もし自分が買い換えるならどうするかというと、やっぱりブラザーにするであろう。
なぜにそんなにブラザーに拘るか。
なんとブラザーの複合機はLinux用ドライバを自社提供しているのである。
しかも、プリンタだけではなく、スキャナ、FAXのドライバもあり、もちろんLAN対応である。
これはかなり偉いと思う。
http://solutions.brother.co.jp/support/os/linux/index.html

ブラザー以外に複合機のLinuxドライバを提供しているメーカはたぶんないんじゃないかな。
プリンタドライバだけだってそう多くはない。
Linuxザウルス向け開発環境を提供しているのなんかも、すごく偉いと思う。
http://www.brother.co.jp/dev/mwprintersdk/tool6/index.htm

シャープの上記製品なんてMac用ドライバすら提供していない。
(プリンタ部分はHPのOEMらしく、HP用の汎用ドライバでプリントだけはできるらしいが)
かつてZaurusでLinuxを採用した企業とは思えないていたらくである。

ところが、こんなに偉いブラザーだが、Linuxコミュニティですら、そんなに話題になっているわけではない。
もったいないと思う。
もっと評価すべきだと思う。
だが、そうならない理由もわかっている。

Linuxはサーバ用途や組み込み用途ではそれなりに普及したが、いわゆるデスクトップOSとして実際に日常的に使っているというひとは、非常に少ないのである。
特に英語圏以外では少ない、と思う。
「遊び用」「PCの勉強用」にWindowsマシンの別パーティションにインストールしているユーザはそれなりにいるだろうが、メイン・マシンにLinuxだけ入れて日常的に使っている事務職の人間というのは非常に稀であろう。
サーバ用途や組み込み用途では、プリンタなんかは普通使わない。
だから需要がないし、評価もされないのは当然なのだ。

こういう状況になったひとつの原因は、2000年前後の「Linuxブーム」があると思う。
あの時、これはマズいなあと思ったものだ。
当時、デスクトップOSとしてLinuxを使うには、まだまださまざまな「努力」や「我慢」が必要であるにもかかわらず、世間的には「Linuxはカンタン」「誰でも使える」「これからのWIndowsの代替OS」というような持ち上げられ方をした。
ぜんぜんそんなことないのに。
結果、試しにLinuxを使ってみた多くのひとは「ウソじゃないか」「ぜんぜん使えないぞ」と思い、以後、Linuxに触れることはなかった。
浮かれた企業もLinuxから手を引いた。

だがしかし、今やほんとにLinuxは誰でもカンタンに使えるWIndowsの代替OSになった、とわたしは思う。
自分でWindowsをインストールできるひとなら、Linuxもインストールできるだろうし、Windowsを使えるひとなら、Linuxも使えると思う。
もちろん「慣れ」の問題はあるし、勝手は違うと思うが、難易度は違わないと思う。

その証拠に、昨年から話題の「UMPC」「ネットブック」「ミニノ−ト」と呼ばれるのラップトップ(パームトップ)PCには、海外ではLinuxが採用されるケースが多い。
実際、Webやメール、ワープロや表計算、動画再生程度なら、Linuxで充分なはずだし、誰でも使えるのである。
(ほんとはそれ以上のことだってだきるし、Linuxのほうが優れてる点はたくさんあるけど、今は敢えて言わない)

しかし、ASUSのEeePCもHPの2133も何故か日本版はWindowsだけである。
それだけ日本ではWindows信仰が強いのか、Linuxは日本では商売にならないと判断されているのか、はたまたLinuxでは日本語処理に問題があると誤解されているのかはわからない。
ちっちゃなマシンのちっちゃなキーボードに、わざわざローマ字変換に不要な日本語キートップを用意したりするメーカがあるくらいだから、要は「考えすぎ」なのかもしれない。
こういうのは、シャープがLinux(Zaurus)を捨ててWindowsMobile(W-ZERO3)に走ったのと同根かもしれない。
なんかね、もったいないですよ。

でも、WILLCOM03でATOKを捨て、懐かしのワープロ「書院」の末裔「ケータイ書院」を採用したあたり、シャープもなかなか過去の資産を大切にしているではないか……と思ったのだが、なんか評判悪いみたいね(苦笑)。

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