発掘原稿: Limbo-54 への道 (15)

2003年11月ころ、FAMIGA投稿用に書いたインタラクティヴ・ライヴ「Limbo-54」とAMIGAの仕込みに関する発掘原稿です。
2002年3月に始まった仕込みのことから書きはじめ、ようやく2003年4月のライヴ本番の話に至ったようです。
本文のあとにA1200についての解説を『来なかった近未来』から引用しておきます。

文中に出てくる山田さんは、紗幕への映像投映があるためライティングが非常に難しいインタラクティヴ・ライヴの照明チーフで、平沢さんもたいへん信頼している照明デザイナーでした。
しかし、残念ながらこのライヴの2年後、2005年に49歳の若さで急逝。「LIMBO-54」は彼が携わった最後の平沢ライヴとなったのです。


Interactive Live 2003 への道 — その15 Limbo-54篇

4月18日〜21日、リハーサルが行われ、あとは微調整を残すのみとなりました。
これまでのインタラクティヴ・ライヴと比べ、仕込みはかなり順調なほうと聞きました。
リハーサルにほとんどの動画素材が揃っていることからして快挙らしいです。

支援プロジェクトで行っている在宅オーディエンス向けのシステムやポータルサイトの準備も前回に比べてかなり早くから整っていたと思います。
もちろん順調とはいえ、そこには多くの試行錯誤とドラマがあったわけで、その舞台裏について書こうと思うと、これまで書いた文章と同じくらいの分量はいってしまいそうです。
ほんと支援プロジェクトのメンバの活躍には頭が下がります。

さて、リハーサル後、PowerTowerA4000は最終調整のため東京に残り、かわりにHighFlyerA4000が筑波のスタジオへ送られました。
しかし、筑波に着いたHighFlyerが動かない(笑)。いえ、笑いごとじゃありません。
平沢さんは本番までにまだAmigaを使う作業が残っているので動いてくれないと困るのです。
結局、HighFlyerA4000は東京へ返送され、入れ替わりにPowerTowerA4000が筑波へ戻っていきました。
PowerTowerA4000は不安要素があったので、本番前に分解して調査する予定だったのですが、不安要素を抱えたまま本番に臨むこととなりました。
あとは現場でPowerTowerがダウンしないことを祈るのみです。

HighFlyerはアクセラレータを固定しているネジを絞めつけると動くようになりましたが、果たしてそれが真の原因かどうかはわかりません。
容量が大きいせいか、たまにハードディスクを認識しないことがあります。
ダメな場合でも再起動するとたいてい認識しますが、どうなんでしょう。
Amigaではよくあるコールド・ブートでダメでもウォーム・ブートでなんとかなるというやつでしょうか。
不安要素を残したままHighFlyerは最初の会場の大阪へ向け搬出されていきました。
不安要素のないA4000Tもあるので、ま、なんとかなるでしょう。

前回で紹介したコンピュータのうち本番でわたしが操作・管理するのは以下の4台。

○Amiga-2(A4000T/060)
[光の軌跡]用

○Amiga-3(A1200HD/030)
[PhononGrabber]用

○PC/AT-1(ブックPC/Celeron700MHz)
静止画配信/テキスト配信/Web監視

○PC/AT-2(タワー/Athlon1.8GHz)
DANCERハンドル一覧/音声配信/LIMBO-SCOPE動画配信用

といっても、2台のAmigaは常時動いているわけではなく、イヴェント用です。
また、AT機のうち1台は共同で管理しているので、常時ひとりで使っているコンピュータはAT機1台のみです。
それでもDANCERとチャットしていると、ついステージの進行を忘れたりして(笑)。
もちろん、チャットといっても息抜きしているのではなく、今回のライヴにおいては非常に重要な要素で、真剣なんですけどね。

「DANCERハンドル一覧」では会場スクリーンにAwebの画面をどーんと出したかったのですが、日本語フォントの問題などがあり、AT機でやることになりました。
わたしはふだんLinuxを使っているので、Linuxでやろうと思ったのですが、PeerCastによるMP3ストリーミングがWinAMPでしかできなかたっり、静止画配信用のキャプチャ器機がWin用ドライバしかなかったりで結局、Windowsでやることになってしまいました。
ま、そんなに意地になることもないですけど、ふだん使い慣れたOSを使いたいのが人情ってもんじゃないですか(笑)。

というわけで、いよいよ本番。
平沢さんの「Interactive Live Show 2003 LIMBO-54」は4月28日・29日に大阪・なんばHatchで、5月4日・5日に東京・メルパルクホール(東京郵便貯金ホール)で開催されました。

●アクシデントその1

4月28日・初日、本番直前のハーサル中になんとA1200HD/030が壊れてしまいました。
いえ、正確に言えばわたしが壊したのです。
電源を入れたままうっかりモニタ・ケーブルを抜いてしまい起動しなくなりました。
後日、これは一時的なダウンで死んでいないことがわかりましたが、この時はうんともすんとも言わないので予備のA1200HD/040に切り替えることにしました。
「予備」といっても、これは照明スタッフの山田さんからお借りしているマシンです。
照明スタッフにたまたまAmigaユーザがいるというのもレアな現象ですが、この1200もエンブレムに「A1200HD/40」と書いてあるなかなかレアなシロモノです。
この「40」は「040アクセラレータ搭載」のことかと思いきや「40MBハードディスク搭載」の意味だったのですな。

急いでPhononGrabberの仕込みをし直し、マウス・ポインタのカスタマイズだけ平沢さんにお願いしました。
PhononGrabberでは、マウス・ポインタがデフォルトの矢印では雰囲気が出ないので、平沢さんが作ったスコープの照準のような十文字のポインタを使っているのです。
(にしてもアイコンやポインタをカスタマイズするソフトが標準で搭載されてるOSってAmigaくらいじゃないでしょうか)
リハーサル時、スタッフに向かって「みなさん、ショウの始まりです」とかなんとかマイクを通して呼びかけたかと思うと、おもむろに会場のスクリーンに投影された巨大Workbenchの画面上ですらすらとお絵かきするようにポインタを作っていく平沢さんが妙にカッコよかったです。
こんなミュージシャン…いないよなぁ。

しかし、このA1200HD/040がまたクセモノだったのです。
なんと、本番中、PhononGrabberの出番の直前にダウン。
再起動をかけているうちになんとか起動するようになりましたが、少し出遅れてしまい、もう焦りまくりです。

ライヴ終了後にチェックしたところ、熱暴走であることが判明しました。
040にもかかわらず、クーリングファンなしじゃキツいですよね。
ただ、このA1200は前回のライヴでもPhononGrabber用に使われたマシンなそうです。
たぶん出番の直前に電源を入れればまだよかったのでしょうが、リハーサル時からずっと電源を入れっぱなしでスタンバイさせておいたのが悪かったのでしょう。

台をかましてA1200本体を浮かせたうえ、トラップドアを開けっ放しにして、熱を逃がすというA1200熱対策の常套手段を執ることにしました。
チルトというかリフトにするのになにかいいものはないかとステージや楽屋をうろうろ。
ふと扉が開いた楽屋のロッカー目をやると、ハンガーかけ用ポールがよさげに見えます。ポールの長さはちょうど1200の奥行きくらいの長さ。
2本のポールをA1200の底面両サイドにそれぞれガムテープで貼り付けるとまるで「1200の脚」としてあつらえたようにぴったりじゃありませんか。
翌日のライヴではまったく問題なく稼働しました。

まだ東京公演がありますが、かといって大阪の楽屋の備品を持ち帰るわけにはいかず、東京ではまた別になにかを用意したはずなんですが…いったいなにを使ったのかは忘れてしまいました(笑)。

次回は、とうとうPowerTowerA4000がキちゃいます。


『来なかった近未来』より

AMIGA1200 (A1200)

リリース: 1992年
MPU: MC68EC020(14Mhz)
チップセット: AGA
Kickstart: 3.0
拡張スロット: PCMCIA-compatible connector
CPU Expansion slot (Trapdoor)
Chip RAM: 2MB
Fast RAM: none

新世代チップセットAGA搭載のキーボード一体型。
AMIGA2000に対するAMIGA500のように、基本性能は同じAMIGA4000をコンパクトにダウン・グレイドし、ビギナーやゲームユーザを狙った。
本体底面トラップドア内の拡張スロットは、メモリだけでなく、アクセラレータも搭載可能で、サードパーティからはMC68060アクセラレータやPowerPCアクセラレータ、タワー化するためのケースやボードまで販売され、拡張次第でA4000に匹敵するマシンに改造することができた。
同シリーズにハードディスク搭載モデルのA1200HDなどがある。
なお、Commodore倒産後に Amiga Technologies からリリースされたAMIGA1200は、ロゴとマザーボードのリヴィジョンが異なり、Kickstartはバグフィックスされた3.1が搭載されていた。

A1200
A1200

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