点呼する惑星 (4)

平沢進は「からくりお江戸」に住むのがよいのではないかと思う今日このごろ。
団子はお嫌いか?

8. 可視海

ミドル・テンポのリズム・ボックスのイントロを聞くとそれだけでわくわくしてくるのはわたしだけでしょうか。

かったるいリズム・ボックスにウィスパー・ヴォイス。
自称スペイシーなボトルネック。
高揚と沈静の両面をもったヘンな曲。
計算された「ゆるさ」や珍しく「甘い」ギターがいい。
ちょっとロキシー・ミュージックを思い出しました。
これまたいかにもインタラクティヴ・ライヴの終盤に位置しそうな、ちょっとヘンな次元を感じる。
「ヘン」しか語彙がないのか。

9. Phonon Belt

ホルンに坊主のオペラ。
アルバム中もっとも美しく懐かしいメロディと歌声に包まれる、もっとも安心して聴けるドラマティックな曲。
歌詞的にも「裏主題歌」と呼びたくなるアルバムを代表するナンバ。
平沢らしい「記憶掘り起こし」手口満載。
まさに「見たこともないのに懐かしい」元型刺戟曲。
これまたライヴのクライマックスに似つかわしい。
…って、クライマックスばっかりか。
ライヴの中盤を盛り上げる曲はないのか…いや、あるけど。
でも、そういやPhantomNotesで本人も書いてたな。


よく思うのだが、私の曲はほとんどが何かのエンディングテーマのように聞こえる。何かが終わり、良くも悪くも全てを綺麗さっぱり置き去りにして異境へ向かう感覚が目標だったりもする。


すごい自己分析力。
これ以上、言うことなし。

10. Astro-Ho!帰還

そしてラストでふたたび奈落へ。
M2に呼応するだるくかったるいワルツ。
ハープが奏でるもの悲しくも美しいメロディが被さった平沢流ジンタPartIIだ。
ここから始まる物語でもよかったのではないかと思えるが、リスナーを奈落へ突き落とし、いやあああああな余韻をぶった切る悲鳴でアルバムは終わる。
キャ→
「パレード」で終わった『白虎野』にも通じるが、あのように重い気分ではなく、あーバカバカしかった、と誰にも看取られず最期を迎えることができた一生だ。

悔やまれるのは「ASTRO-HO-06」が収録されなかったこと。
いや、収録の予定があったとかそういうわけじゃないのだけど、アルバム未収録なんだし。
せっかくアストロ・ホーが主人公なんだし(決めつけ)サウンドもメロディもぴったりこのアルバムにはまると思うのだが。

たぶん続くがいつとは言えぬ。

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