喰わず嫌いの治し方 その1

食べものに好き嫌いはほとんどない。
ましてや喰わず嫌いはない。
進んでは食べないものというのはあるが、食卓に供せられたならだいたいなんでもいただくほうである、虫以外は。

しかるに、音楽は好き嫌いが多い。
喰わず嫌いも多い。
いや、喰わず嫌いと言えば嘘になるが、アルバムをちゃんと聴くことなく、なんとなく耳に入ってきた数曲で嫌っているミュージシャンは多い。
ジャンルごと嫌いな音楽のほうが多いのではないかと思うくらいだ。
こう音楽の許容範囲が狭いと人間も狭量なのではないかという気がしてくる。
いや、気がするのではなく実際に小さいのだ。
人間極小だ。

かといって、音楽の趣味を狭めることで人生も狭めているのではないかと反省した、ということはまったくないのだが、第1印象で決めつけて聴かずに損をしている音楽もあるかもしれないし、それではもったいない。
というわけで聴いてみることにした。
きっかけは円高というか、ドル安、ユーロ安、ポンド安である。
輸入盤なら500円もせずに買えるアルバムは多い。
しかもボーナス・トラックやボーナス・アルバムがついてたりもする。
お目当てのアルバムを注文するついでに、どうでもよい(と自分では思っていた)アルバムを買ってみることにした。
10代はアルバム1枚買うのに吟味に吟味を重ねたものだが(5000円の小遣いでは月に2枚も買えないだから当然だ)溝に捨てる気持ちで買えるとはいい時代になったものだ。
ま、それでも激しく後悔はするけど。

第1弾はZTTレーベル系。
ジャンルを広げると言いながら、これまた狭いジャンルだが、ま、いい。
アート・オブ・ノイズはリリースされた当時、手法は面白いけど音楽はつまんない気がして買わなかったのだ。
なんか、技法のための習作集というか、音楽はただのお遊びみたいなもんで、1曲聴けばいいっていうか。
あれから四半世紀が経ち、ZTT時代のオール・イン・ワンみたいなベスト盤『Daft』が安く売ってたので、なんかちょっと聴いてみたくなって買ったみた。
しかし、四半世紀前の自分は間違っておらなんだ。
四半世紀を経て買ってしまった自分がバカ。
やっぱりつまんないよ、これ。
バグルスにしてもイエスにしても、トレヴァー・ホーンのかかわった作品はどれも企画モンくさいんだよな。
いや、好きなひとはそこを評価するんだろうけど。
ああ狭量。

プロパガンダはジャパンと交流があったくらいなので、好きな曲もあった気もするのだがすでに記憶の彼方。
『A Secret Wish (25th Anniversary Deluxe Edition) 』というオマケCDがついた2枚組が2.64ポンド。
買ってみた。
けど、ああ、やっぱダメだわ。
いや、曲によっては好きだったりするのだが。
たとえば「Jewel」なんかいいかなって思うし「P-Machinery」にしてもイントロダクションはいいんだけど、大仰で俗っぽいメロディのストリングスが入ってくると萎えてしまう。
「Dream Within A Dream」なんてつい恥ずかしくなってうつむいてしまう。
ああ、恥多き80年代を象徴するような音色群よ。
恥の多い生涯を送ってきました。
まあ、いまも恥は多いわけだが。

というわけで次回「フォークの神様は救ったか」に続く。

Daft-Art-Noise
Secret-Wish-25th-Anniversary-Propaganda

 

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