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PhotoRecでリヴァイヴァルしたか

PhotoRecというLinux用のファイル復元ツールは非常に有用だった。

http://www.cgsecurity.org/wiki/PhotoRec
http://www.atmarkit.co.jp/flinux/rensai/linuxtips/987photorec.html

消してしまったMPEGファイルを復元するために使ったのだが、イッツ・ア・マジック!! イッツ・ア・ミラクル!!
まさかこんなにうまくいくとは!!
ただ、パーティション内の過去に消去した全MPEGファイルがなぜか60GBもの1ファイルになって復元されてしまい、これは困った(笑)。
Avidemuxでも読み込めないため、これじゃあ意味なしかと思ったが、MPEGファイルの自動分割設定、自動インデクス設定をしたらばうまくいったのでした。

ヒラサワはキャパに並んだか

SP-2

11月1日。
そろそろ平沢進の単行本『SP-2』が書店に並んだころだろうと、事務所近くの紀伊國屋書店渋谷店まで行ってみた。

まず、新刊コーナーを探してみる。
ない。
タレント本コーナーを探してみる。
ない。
タレントの写真集コーナーを探してみる。
ない。
サブカルチャーのコーナーを探してみる。
ない。
文学・エッセイのコーナーを探してみる。
ない。

うーむ。
店員にきいてみることにする。
店員はPCで検索したのち、この本でよいかと画面を確認させてくれる。
では、ちょっとお待ちをと、若い男性店員はすでにわたしが見て回った書棚を探しに行く。
もちろんない。

男性店員は先輩と思われる女性店員に相談する。
こんどはふた手に別れて探しに行く。
すみませんね、ほんとは客じゃないんです、担当編集なんです、すみません。
と心でつぶやきつつ、レジ前に佇んで店員の動向をうかがう。
なかなか発見されない。
店員はアート本や芸術系写真集のコーナーを眺め回している。
そうか、そういうコーナーもあったなと思って遠目に見ていると、覚えのある背表紙が書棚の上にほうに棚差しになっているではないか。
店員の目は素通りしてしまったようなので、書棚へ進み、自分の手で取る。
「これです、これ」

隣はロバート・キャパの写真集である。
名誉ではある。
しかし、営業的なことを考えるはなはだ困ったことである。
広い書店の奥まったところにある芸術系写真集のコーナーの上のほうに棚差しでは、客の目に留まる機会は非常に少ない。
せめて平台に置いてもらいたい。
理想を言えば、ロバート・キャパの隣ではなく、話題の新刊コーナーでファン・ジニ写真集であるとかB’z20周年記念本であるとか、そうした大型本と一緒に並べていただきたいのである。

書店への営業対策を考えつつ、手に取った本を申し訳なさげに書棚へ戻して紀伊國屋を後にしたのだった。
手間をかけさせてしまった店員さん、ごめんなさい。

さて、困ったのはリアル店舗だけではない。
ネット書店でも困ったことはいろいろある。

まず、最大手のAmazonであるが、配本日である10/29に”SP-2″で検索したところ、出てこない。
“SP-2 タイ””SP-2 ニューハーフ”などで検索してもヒットせず、ようやく”SP-2 平沢”で出てきた。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4309908063/ref=cm_cmu_pg__header

11/3現在ではAmazonでも”SP-2″だけでヒットするようになったが、この時点では”SP-2―タイのニューハーフ?いいえ「第2の女性」です”と、ページに掲載されたタイトルをC&Pして検索してもヒットしなかったのである。
10/29時点では『SP波動法株式攻略読本 (相場読本シリーズ2) 』とか『剣客商売 (2) (SPコミックス―時代劇シリーズ)』とか、どこがSP-2なんだか遠いにもほどがあるようなものばかりヒットしていた。
Amazonの検索システムの詳細は知らないが、きっとGoogleなどと同様に、単純な全文検索結果ではなく、実際にリンクをクリックした結果が検索結果の順位に反映されたりするシステムなのろう。

紀伊國屋やセブンアンドワイなどでは、早い時期から”SP-2″でちゃんとヒットしていたし、読者にとってはそっちのほうがありがたいのではないかと思う。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?KEYWORD=SP-2
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/32154489
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032154489&Action_id=121&Sza_id=B0

ちなみに、ビーケーワンは”SP-2″ではヒットせず”エスピーツー”でなくてはならないようだ。
http://www.bk1.jp/product/03049458

八重洲ブックセンターでは”エスピー ツー”とキーワードを分けなければヒットしなかった。
http://yaesu-book.jp/netshop/index.cgi?ses_id=&allkey=%2Bauthor%3A%CA%BF%C2%F4%BF%CA&key=&top=0&cd=51&btob_flg=$bto_flg$&predsp_id=41&dsp_id=42&nextdsp_id=41&popdsp_id=&bid=2230174

面白いのは三省堂で、各店のどのコーナーに置いているのかまで、検索結果で表示される。
やっぱり、写真、美術書、アートにくくられるのか。
http://www.books-sanseido.co.jp/reserve/zaikoDetail.do?pageNo=1&action=%8D%DD%8C%C9&isbn=4309908063

また、Amazonは一般書店と異なる流通システムをとっているせいか、11/3現在、本の内容紹介が掲載されていない。
本来は取次経由で注文票や本の内容紹介は各書店へ伝播しているはずなのである。
表紙写真もAmazonでは11/2か11/3にようやく掲載されたが、それ以前はなかったので、しょうがなくユーザ投稿の形で掲載した。
そういえば、一部のネット書店では、サブタイトルが途中で切れてしまう現象があって、登録システムのせいだとは思うが、謎である。

https://www.jbook.co.jp/p/p.aspx/3667577/s/~6b19cf0ce
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/32154489
(と思ったら、とりあえずYahoo!ブックスは修正されているようだ)

表紙写真といえば、どうもよくわからないのが、ネット書店によって掲載写真が違っている点である。
本来は、出版社側から配布されている写真、この本で言えば上に掲載したのと同じ写真がネット書店でも掲載されているはずなのであるが、上記リンクを見てもらえればわかる通り、まちまちなのである。
たぶんオフィシャルな写真がちゃんと届いていなかったために書店もしくは流通が独自に撮影(スキャン)したと思われるが、みなさん手間をかけさせて済みません。

http://ec2.images-amazon.com/images/I/41puqtKuq5L._SS500_.jpg
http://img.7andy.jp/bks/images/b9/32154489.JPG
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/imgdata/large/4309908063.jpg
(紀伊國屋なんかはシュリンクの上からスキャンしたようだ)

でも、そういえば『改訂復刻版 音楽産業廃棄物』でも、Amazonなど表紙写真はオフィシャルのもではなかったなあ。
どういう原因なのか、こんどはちゃんと調べてみることにしよう。

こうしたことは、もちろん書店側に一方的な非があるわけでない。
今回は発行元と発売元が異なるので、連携の問題もあるかもしれないし、営業的な問題かもしれない。
制作担当である、わたしの責任もあるかもしれない。
今からできる対策はしておき、今後の反省材料としたい。

と、いつになく真面目に締めてみる。

SP-2は微笑んだか

平沢進、初の著作『SP-2』が今月末に刊行される。
3日ほど前、ようやく刷り上がってきたので、見本を届けてもらった。
編集者としてこの半年つきあってきた本なので他人事ではなく、思うことは多々あるのだが、そういう話はまた追々。

SP-2

  • SP-2 タイのニューハーフ? いいえ「第2の女性」です
  • 執筆・撮影: 平沢進
  • 発売日: 2008年10月31日(地方によって前後します)
  • 本体価格: 3500円(税別)
  • 発行: ケイオスユニオン 発売: 河出書房新社
  • ISBN 978-4-309-90806-9 C0095
  • B5変形(四六倍判) 上製 全208ページ(カラー104ページ)
  • 仕上がってきた本を手にとってまず思うのは、重たい、ということである。
    もちろん束見本で重さはわかっていたのだが、中が真っ白の束見本と違い、ちゃんと印刷されて中味のある本であるからして、手にとって読もうとする。
    数ページめくっているうちに、手にずっしり重さを感じ、さらにページをめくっていると、腕がだるくなってくる。
    重量にして1kg以上、こりゃあ、机なしでは読み続けられない本である。
    もちろん、床に置いて寝ころんでページをめくってもよいが、間違っても中空に持ち上げようとしてはいけない。
    うっかり顔面に落下しようものなら、怪我をするかもしれない。

    さらに気になるのは、本の汚れである。
    この本は布(クロス)張りになっており、布というのは皮脂や汚れを吸い取る性質がある、これ当たり前。
    よく手を洗って読書に臨まないと、本が手ぬぐいのようになってしまう。
    コーティングされた巨大な帯があるので、その部分を持つようにすれば本体に汚れがつきにくいが、そうすると帯で微笑むFiat嬢に汚れがついてしまう。
    かようなことが気になる向きには、トレーシングペーパーなどでカヴァーをすることをお薦めしたい。
    変形サイズゆえ、市販品でぴったりのカヴァーは入手困難と思われる。

    ところで先日、タイ王国を訪問したので、ぜひともFiat嬢に会うべく彼女が連日出演するゴールデン・ドーム・キャバレー・ショウ(といっても飲み屋ではなくシアター)へと向かったのであるが、なんとその日は休み。
    巻末を飾るKukkai嬢、Gun嬢の演技を堪能して帰ってきたのであった。

    出来損ないのブラウザはいつまでトップで居続ける気か

    出来損ないのブラウザのくせに、IE6は未だにトップシェアである。
    もうじきIE7にリプレイスされそうだが、それでもまだしばらく生き残るだろう。
    Win98とかIE7が使えない環境ならいざ知らず、なぜにXPでIE6を使い続けるのか理解できないが、それがプリインストールの強みなのだろう。
    Windowsにおいては、きっとFirefoxやOperaなんてその存在すら知らない、というよりブラウザが「選べる」ものだということすら知らないユーザがマジョリティなのだろう。
    自分に与えられた自由や権利に気づかないのが無知の恐ろしさであり、管理する側にとっては幸いなのだろう。
    自由は恐怖であり、逃避・放棄すべきものなのだ。

    などと真面目なフリをしてみたが、実はIE6でアルファチャンネル(透過)PNGが表示できないとは知らなかったよ、ごめんなさい、という話である。
    FF3とIE7だけで検証しちゃいけませんね。
    いくらできそこないでも、トップシェア様を無視しちゃいけません。
    というわけで対処法(IE6やIE5.5で強引に透過PNGを表示させる方法)を検索したら、出るわ出るわ、いっぱいあるのね。

    http://homepage.ntlworld.com/bobosola/pnghowto.htm
    http://www.twinhelix.com/css/iepngfix/

    上記が有名どこみたいで試してみたが、CSSで背景指定したPNGとHTMLで指定したPNGを重ねてきれいにIE6で表示できるのは、後者の PNGFix v2.0 Alpha だったので、ファッシネイション本家サイトに導入してみた。

    XOOPSの場合は使っているテーマの組み込むのが手っ取り早い。
    まずはこちらのファイルをダウンロード。
    http://www.twinhelix.com/test/iepngfix.zip

    展開してできる iepngfix.htc iepngfix_tilebg.js blank.gif の3ファイルを使用しているテーマのディレクトリへ。
    もし blank.gif を同階層ではなくimagesディレクトリなどへ置く場合は、iepngfix.htc を編集して相対パスを記入しておく。

    ex)
    IEPNGFix.blankImg = ‘blank.gif’;
    –>
    IEPNGFix.blankImg = ‘images/blank.gif’;

    あとはtheme.htmlのヘッダ部分に下記を追記。

    
    <!--[if lt IE 7.]>
    <style type="text/css">
    img, div { behavior: url(<{$xoops_imageurl}>iepngfix.htc) }
    </style>
    <script type="text/javascript" src="<{$xoops_imageurl}>iepngfix_tilebg.js"></script>
    <![endif]-->
    

    相対パスではうまく動作しないみたいなので< {$xoops_imageurl}>でテーマディレクトリを指定。
    IE7.x未満にだけ適用されるように、IEの独自拡張で[if lt IE 7.]と指定。
    ほかのブラウザには影響ない。

    これで出来損ないブラウザへの対応終了。
    ありがたくドネーションをPayPalで支払ったのであった。

    ……とオチをつけて終わろうと思ったら、検証用に使っていたVM上のIE6で透過ではないPNGも表示されなくなった。
    一瞬だけ表示されて消える怪現象。
    調べてみると、WindowsでのPNGがらみの不具合は多いらしく、レジストリが壊れているせいだとか、いろいろあるが、修正できない。
    結局、5年振りくらいにVMwareにWin98を再インストールしましたよ。

    ID3タグの文字化けは解消したか

    MP3プレーヤを新調してみた。
    2年半ほど使ってきた LUXPRO の Top Tangent のバッテリが1時間ももたなくなってしまったのである。
    Top Tangent は「iPod shuffleのバッタモン」と言われた商品で、そのいかがわしさとアップルをコケにした態度がよろしくて買ったのであるが、LUXPRO の商品は日本市場でほとんど見かけなくなってしまった。
    Top Tangent
    http://www.luxpro.com.tw/English/product/Top_Tangent.htm

    最初は engadget で見て発売前から気になっていた Iriver の Lplayer にしようかと思っていた。
    Ogg Vorbis にも対応してるし、デザインもよろしい。
    Lplayer
    http://www.iriver.co.jp/product/iriver/lplayer/

    でも、動画はそんなに見ないだろうし、結局はコスト・パフォーマンスで Trancend の T.sonic 850 8GB (TS8GMP850) にしてしまった。
    製品として面白みはないが、なかなかよいB級の匂いがする。
    USBマスストレージとして扱えるので、小賢しいソフトは必要なく、Linuxでも問題ない。
    ちゃんとパッケージには対応OSとしてLinuxも書いてある。
    にしても、1ギガ1000円とはいい時代になったものだ。

    T.sonic850
    http://www.transcend.jp/Products/ModDetail.asp?ModNo=194

    高機能や多機能は求めていないので、性能的には充分である。
    音質は個体によって当たり外れがあるといクチコミを目にしたが、手持ちのヘッドホンで聞いてみたところ、許容範囲。
    まあ、こんなもんだろう。
    Top Tangent に比べると遙かにマシ(苦笑)。
    ただ、最大音量が小さすぎるかな。
    ファームウェアの改善でなんとかしていただけると嬉しい。

    どうしても気にくわないのが日本語フォント。
    Top Tangent もそうだったのだが、輸入食材のラベルに使われているような、東南アジアのホテルの日本人向けガイドに使われているような、バッタモン臭い明朝体である。
    今どきフリーフォント(商用利用できるかどうかはわからないが)でもずっとマトモである。
    英語もいかがなものかというフォントなので、あんま考えていないのかも。

    さて、プレーヤの問題でなく困ったのがMP3のID3タグの文字化けである。
    わたしのPCに入っているMP3ファイルは、リッピングした時期や環境によってファイル名およびタグの文字コードが EUC, Unicode, Shift JIS と混在しているうえに、タグのヴァージョンもまちまちである。
    調べてみると、ID3 Ver2.x以降はUnicodeに統一されたそうなので、今のLinux環境に合わせてしまえば問題ないはず。
    検索すると、文字コードの一括変換にはiTunesを使うのが簡単かつ便利とかあちこちで書いてあるので、試してみたが、化けたもんは化けたままである。
    そもそもWindows環境で読み込むとファイル名からして化けてたりするし。
    (ふだんはファイル名に日本語は使わないのだが、MP3はリッピング・ソフトが自動的に日本語にするのでそのままである)

    そこで使ってみたのが、EasyTAGというLinux用のID3タグエディタ。
    Fedoraに標準搭載されているにもかかわらず、これまで使ったことがなかったが、意外と使える。

    http://easytag.sourceforge.net/
    http://linuxsalad.blogspot.com/2007/07/easytagid3.html

    「%g/%a/%b/%t」とか「%a_-_%b_(%y)/%n_-_%a_-_%t」とか、規則に沿ってタグを書き換えることができる。
    自分でルールを作ることもできるが、だいたいプリセットでうまくいく。
    特に便利なのが、MP3ファイルの情報を元にCDデータベースを検索し、タグを付け直す機能。
    手動検索で日本語は苦手っぽいけど、アルバム単位なら自動検索でけっこうヒットする。

    これでPCでも携帯プレーヤでも文字化けなし。
    めでたしめでたし。

    カッコの内と外

    調べ物の途中でふと手に取った太宰治の文庫撰集をめくっていて、気がついた。

    へぇ、太宰ってカッコの内側にマルを入れるのね。

    つまり

    「あれはこうなんだよ。」と彼は言った。

    という表記である。
    閉じ括弧の内側に句点を入れるわけだが、現代の文章作法ではあまりコレをやらない。

    「あれはこうなんだよ」と彼は言った。

    という表記が小説でも雑誌原稿でも一般的である。
    だがそれが絶対というわけでなく、今でも絵本とかではカッコの内側にマルがあったりするし、Webなどを見ていると、いわゆる素人の文章では珍しくない。

    試みに隣にあった芥川龍之介の文庫全集をめくってみると、芥川もカッコの内マル派であった。
    これは時代的な問題であろうかと、師匠筋の夏目漱石の『こゝろ』に目をやると、漱石は内マル派ではなかった。
    どうも時代のせいではないらしい。
    ちなみに新聞表記ではカッコの外マル派が主流である。
    いちいち
    」。
    などとなっていてむずがゆい。

    もうちょっと調べてみようか。

    DEVOは半ズボンをはいたか

    8月11日(月) DEVOの来日公演(渋谷AX)へ行ってきた。

    DEVOのフェスティヴァル参加での来日については年頭に某レコード店オーナーからきいていたが、それはぜんぜん行く気はしなかった。
    40代にとっていわゆる夏フェスなどというものは地獄である。
    しかも、DEVOはニュー・ウェイヴのリスナーにとって最重要用バンドのひとつだが、実はわたし、そんなに思い入れがない。
    アルバムだって揃えていない。
    だが、単独公演もやるらしいと聞いて迷った。
    どうしようかな〜、武道館も観てないしな〜。
    でも、前座があるし、スタンディングだしな〜。
    と、考えあぐねていたら、まだAXの2階席が空いていることがわかり、決心。
    死ぬ前に1回は観とこ。

    前座はポリシックス。
    考えると彼らもメジャー・デビューから10年である。
    たとえばロックン・ロールやブルーズというジャンルの音楽は「極める」という言葉が似つかわしく、同じ音楽スタイルを40年続けていたっていいことになっている。
    しかしながら、初期DEVOや初期P-MODELのようなパンク/ニュー・ウェイヴ、バンド・スタイルのテクノ・ポップというのは初期衝動の最たるもので、同じスタイルを延々と続けるもんではない。
    変化してナンボである。
    しかしながら、彼らはそれをひとつの「芸」「スタイル」として10年以上続けているのである。
    初期ルースターズはよく「どの曲がカヴァーでどの曲がオリジナルかわからない」と言われたものだが、ひとつのスタイルとして完成したR&Bというジャンルは、そういうもんだろう。
    ところがポリシックスの場合、ニュー・ウェイヴでありながら、カヴァーなんだかオリジナルなんだかわからない曲ばかりやっているし、そもそもオリジナリティなんか目指していないのではないかと思う。
    これはこれで偉い。

    さて、45分ほどでポリシックスは終了。
    前の席にはシャンプーの折茂さんとPEVOさん。
    セット・チェンジして22:00。
    DEVOのヒストリーを追ったようなPVのリミックス上映に続いていいいよメンバー登場。

    げ……太っている。

    Webで顔写真しか見ていなかったのでわからなかったが、ボブ1号とサポート・ドラムであるジョシュ・フリーズ(ドラマーは事前にアナウンスされたジョシュではなかったというもある)以外、つまりマーク、ジェリイ、ボブ2号の3人は巨漢と言っても過言でないほど太っている。
    先日も学生時代の友人に「ピストルズ行かないの?」と訊かれて「でぶっちょ4人組になったピストルズなんか行かないよ、P.I.L.は観てるし」とか答えたところだったのだが、DEVOよ、お前もか。
    http://www.clubdevo.com/mp/live.html

    前半はでぶっちょ3人がキーボード、それにギター、ドラムという編成。
    「THAT’S GOOD 」「PEEK-A-BOO!」「WHIP IT」とか、3rd以降の曲をやったと記憶している。
    紙でできたツナギがはち切れんばかりである。
    しかし、なんかこれはこれでコミカル度、変態度が増していていいような気がしてくるから不思議だ。

    にしても、うまいバンドなんだなと妙に関心する。
    マークも驚くほど声が出ている。

    中盤からは、ギターx2(時にx3)、ベース、キーボードという初期編成へチェンジ。
    「SECRET AGENT MAN」「UNCONTROLLABLE URGE」「SATISFACTION」「MONGOLOID 」「JOCKO HOMO」といった1st〜2ndのナンバーで突っ走る。
    そう、ツナギを破き、半ズボンになり、疾走したのだ、初老と言っても過言ではない、でぶっちょ3人が。
    マークは「SATISFACTION」でエフェクターをくっつけたヘンなギターを弾いたり、はたまた「MONGOLOID」で放送禁止のパフォーマンス(そもそも曲そのものがアレだ)も見せたり、メンバー全員でビニール製のカツラ(?)かぶったり、サーヴィスしまくり。
    「変態バンド」「元祖テクノ・ポップ」のイメージが強いDEVOであるが、ライヴだオーソドックスなギター・バンドの側面を顕わにする。
    うっかりヴェンチャーズとか、寺内タケシとブルージーンズといったものまで連想してしまうパフォーマンスだ。

    本篇ラストが「GATES OF STEEL(鉄の扉)」で、アンコール1曲目が「FREEDOM OF CHOICE(自由という名の欲望 )」というのも、個人的に非常に好きな曲なので盛り上がった。
    アンコールのラスト「BEAUTIFUL WORLD」をオカマのBooji Boy(?)パフォーマンスで締めくくったマークだが、ケーキはコントのようにメンバーの顔にぶつけるかと思ったら、やらんかったね。

    とにかく、ほんとに観ておいてよかったと素直に思えるライヴであった。
    DEVOがこんなにすごい「ライヴ・バンド」であるとは、知らずに死ぬとこでしたよ。
    どうもわたしは「アイディア先行の頭でっかちバンドだから演奏なんてできません」という彼らが擬装していた「イメージ」にまんまとだまされていたらしい。
    初来日当時は、武道館でどうするの、ライヴなんて行ったってしょうがないじゃん、くらいに思っていた。
    ヘタなのに上手いフリするミュージシャンは多いけど、その逆を演じなくてはならないとは、ポリスにも通じる。
    ぜんぜんタイプは違うけど。

    そして、ライヴを観ながら、来年で結成30周年を迎えるP-MODELのことを考えたりもした。
    もしも平沢進がこのライヴを観ていたら、80年代P-MODELを再結成してもいいじゃないかと思ってみたりしたんじゃなかろうか。
    やんないだろうけど(笑)。

    ブラザーは編み機だけじゃないと今さら言ってみる

    電気製品の買い物相談はよく受けるほうだ。
    そんなに詳しいわけでもないのだが、家電は好きなので、自分で使うものではなくても買う気になってあれこれ調べるのは楽しいし、他人の買い物で自分の物欲を代償行為的に満たしているとも言える。
    時に仕事に役立つ情報を得ることもある。

    先日も、親戚から普通紙でコピーの取れる、電話兼FAXはないかときかれた。
    そりゃあある。
    2年ほど前に自宅で使うために似たようなジャンルで商品を探したことがあったので、その時に気に入った製品の最新版を薦めることにした。

    シャープ UX-MF25CL
    http://www.sharp.co.jp/products/phone/multi_fax/prod01/uxmf25cl/

    これで最安値が17500円というから、いい世の中になったものである。
    依頼主はPCを使わないので、プリンタ機能やスキャナ機能は不要なのであるが、家庭向けのいわゆるフラットヘッド型の場合、電話・FAX・コピーだけというのはどうもなさそうだった。

    さて、他人にシャープを薦めていながら、実は2年前にわたしが買ったのは、シャープではなくブラザーの製品である。
    2年前には、プリンタ・スキャナ・コピーの一体機に、さらに電話・FAXがつき、ネットワークに対応しているような家庭向け商品は、ブラザーしか出していなかったのである。
    もちろん業務用のデカいものはいくらでもあったし、事務所では使っていたが、そんなものは家庭に置けない。
    シャープはデザインも機能も気に入ったのだが、1台で済ませるには機能が足りなかったのである。
    そこで、選んだのがこの機種。

    830CLN
    http://www.brother.co.jp/product/mymio/info/mfc830cln/

    買う前に調べたクチコミ情報には一体型はよくないとか、プリンタ・スキャナ・コピーと電話・FAXは別々に買うべきだという話もあり、実際、この機種のプリント画質は貧弱だが、わたしは自宅で写真のプリントなんかしないし、モノクロでもかまわないくらいなので、充分なのだ。
    (そもそもプリント自体あまりしないので、自宅にプリンタがなかった期間も長い)
    ただ、評判通り(?)子機の音質は悪く、ヘンな反響音があって違和感を覚えたが、アナログなのでしょうがない。
    買ったすぐあとにデジタル子機の新製品が出たので、その点は改善されたであろう。

    無線LANにも対応した現行機種はこちらのMFC-870CDN
    http://www.brother.co.jp/product/mymio/info/mfc870cdn/

    さて、それでは、他社からも同機能の製品が出ている今、もし自分が買い換えるならどうするかというと、やっぱりブラザーにするであろう。
    なぜにそんなにブラザーに拘るか。
    なんとブラザーの複合機はLinux用ドライバを自社提供しているのである。
    しかも、プリンタだけではなく、スキャナ、FAXのドライバもあり、もちろんLAN対応である。
    これはかなり偉いと思う。
    http://solutions.brother.co.jp/support/os/linux/index.html

    ブラザー以外に複合機のLinuxドライバを提供しているメーカはたぶんないんじゃないかな。
    プリンタドライバだけだってそう多くはない。
    Linuxザウルス向け開発環境を提供しているのなんかも、すごく偉いと思う。
    http://www.brother.co.jp/dev/mwprintersdk/tool6/index.htm

    シャープの上記製品なんてMac用ドライバすら提供していない。
    (プリンタ部分はHPのOEMらしく、HP用の汎用ドライバでプリントだけはできるらしいが)
    かつてZaurusでLinuxを採用した企業とは思えないていたらくである。

    ところが、こんなに偉いブラザーだが、Linuxコミュニティですら、そんなに話題になっているわけではない。
    もったいないと思う。
    もっと評価すべきだと思う。
    だが、そうならない理由もわかっている。

    Linuxはサーバ用途や組み込み用途ではそれなりに普及したが、いわゆるデスクトップOSとして実際に日常的に使っているというひとは、非常に少ないのである。
    特に英語圏以外では少ない、と思う。
    「遊び用」「PCの勉強用」にWindowsマシンの別パーティションにインストールしているユーザはそれなりにいるだろうが、メイン・マシンにLinuxだけ入れて日常的に使っている事務職の人間というのは非常に稀であろう。
    サーバ用途や組み込み用途では、プリンタなんかは普通使わない。
    だから需要がないし、評価もされないのは当然なのだ。

    こういう状況になったひとつの原因は、2000年前後の「Linuxブーム」があると思う。
    あの時、これはマズいなあと思ったものだ。
    当時、デスクトップOSとしてLinuxを使うには、まだまださまざまな「努力」や「我慢」が必要であるにもかかわらず、世間的には「Linuxはカンタン」「誰でも使える」「これからのWIndowsの代替OS」というような持ち上げられ方をした。
    ぜんぜんそんなことないのに。
    結果、試しにLinuxを使ってみた多くのひとは「ウソじゃないか」「ぜんぜん使えないぞ」と思い、以後、Linuxに触れることはなかった。
    浮かれた企業もLinuxから手を引いた。

    だがしかし、今やほんとにLinuxは誰でもカンタンに使えるWIndowsの代替OSになった、とわたしは思う。
    自分でWindowsをインストールできるひとなら、Linuxもインストールできるだろうし、Windowsを使えるひとなら、Linuxも使えると思う。
    もちろん「慣れ」の問題はあるし、勝手は違うと思うが、難易度は違わないと思う。

    その証拠に、昨年から話題の「UMPC」「ネットブック」「ミニノ−ト」と呼ばれるのラップトップ(パームトップ)PCには、海外ではLinuxが採用されるケースが多い。
    実際、Webやメール、ワープロや表計算、動画再生程度なら、Linuxで充分なはずだし、誰でも使えるのである。
    (ほんとはそれ以上のことだってだきるし、Linuxのほうが優れてる点はたくさんあるけど、今は敢えて言わない)

    しかし、ASUSのEeePCもHPの2133も何故か日本版はWindowsだけである。
    それだけ日本ではWindows信仰が強いのか、Linuxは日本では商売にならないと判断されているのか、はたまたLinuxでは日本語処理に問題があると誤解されているのかはわからない。
    ちっちゃなマシンのちっちゃなキーボードに、わざわざローマ字変換に不要な日本語キートップを用意したりするメーカがあるくらいだから、要は「考えすぎ」なのかもしれない。
    こういうのは、シャープがLinux(Zaurus)を捨ててWindowsMobile(W-ZERO3)に走ったのと同根かもしれない。
    なんかね、もったいないですよ。

    でも、WILLCOM03でATOKを捨て、懐かしのワープロ「書院」の末裔「ケータイ書院」を採用したあたり、シャープもなかなか過去の資産を大切にしているではないか……と思ったのだが、なんか評判悪いみたいね(苦笑)。

    果たしてナイロン100%はニュー・ウェイヴの巣窟だったか

    かのニュー・ウェイヴ喫茶「NYLON100%」に関する400ページにも及ぶ著作が発表された。
    まだ読んではいないが、平沢進インタヴュー掲載ということで紹介する。

    NYLON100%
    80年代渋谷発ポップ・カルチャーの源流

    NYLON100%

    ばるぼら 著
    100%Project 監修
    2008年7月23日発売 (2008年8月1日発行)
    アスペクト
    2520円
    http://www.aspect.co.jp/np/details.do?goods_id=1073

    実はわたし、ナイロン100%へ行ったことがありません。
    ついでに言うと、ピテカントロプスやツバキハウスにも行ったことありません。
    なんかこう、オシャレ人種の巣窟ってイメージがあって、気後れしたんだな。
    将来こんな職業に就くとわかっていれば、話の種に行っておけばよかったと思うのだが、当時はどうもそいいうのは違うんじゃないかと、距離を置いていたのだ。
    岡崎京子『東京ガールズブラボー』の主人公のように、くったくなくミーハーに楽しめたらよかったのだけど、頭でっかちに無駄に屈折していたのですね、ああ恥ずかしい。
    そういや、ツバキハウスはキャバレー・ヴォルテールのライヴに行くつもりでチケットも買っていたのだけど、予定が狂っていけなかったんだな。
    縁がなかったのだと諦めよう。

    さて、平沢進ナイロン100%にまつわるエピソードを語る、であるが、これがなかなか興味深い。
    (本は読んでないが、平沢進の項だけ読んでいる)
    自分的には新事実発見なのである。
    まず、P-MODELのレコード・デビュー前のライヴをおさらい。

    1979年
    03/16 下北沢ロフト(デビュー・ライヴ)
    04/01 吉祥寺・DACスタジオ801
    05/02 渋谷・ワルツ 共演:ヒカシュー
    05/26 渋谷・エピキュラス 共演:ヒカシュー(巻上公一のサイトには「渋谷ジァンジァン」とある)

    今回のインタヴューによると、3月16日の下北ロフトと5月2日のワルツの間に、P-MODELはエピキュラスでもライヴをしているのである。
    これはシンセサイザー教室がらみのイヴェント(エピキュラスはヤマハのスタジオ)でのライヴだったらしいが、これまで記録には残っていなかった新事実である。
    このライヴが終わったあとに平沢進はナイロンでヒカシューのテープを聴かせてもらったらしいが、巻上サイトによると、ヒカシューは79年の3月3日にデモ・テープの録音を行い、4月第3日曜から「週一ナイロン」でライヴをやっていたそうだから、3月〜4月ころナイロンにヒカシューのテープがあって当然であり、確かに平沢進の記憶と符合する。
    http://www.makigami.com/jbio.html

    また、これまでP-MODELがナイロンでライヴを行ったという記録は発見されていないのだが、平沢進の記憶によると、間違いなくP-MODELは1度だけナイロンでライヴをやっているそうである。
    そのあたりのディテイルもこの単行本には語られているので、興味のある方は読んでいただきたい。
    いや、平沢インタヴューだけでなく、錚々たる面々の証言集となっているので、平沢進抜きでもぜひ(笑)。

    清原版『家族八景』

    アマゾンにアクセスしたらば、この本を買えと言われたので買った。

    家族八景
    漫画: 清原なつの 原作: 筒井康隆

    家族八景

    2008年3月5日発売
    角川書店
    上・下巻 各651円
    (帯の推薦文は、上巻=今 敏、下巻=筒井康隆)
    http://www.kadokawa.co.jp/comic/bk_detail.php?pcd=200712000040
    http://www.kadokawa.co.jp/comic/bk_detail.php?pcd=200712000041

    清原なつのは五指に入る好きな少女マンガ家だし、筒井康隆は五指に入る好きな小説家であるからして、わたしにアマゾンが買えというのは当然である。
    むしろ、清原なつのがこのようなマンガを連載していたことを知らなかったのが自分でも不思議なくらいだが、そもそも『コミックチャージ』なる雑誌は存在すら知らなかった…と言えばウソになるが、手にとって見る気がまったくせず、吊り広告も見たことがなかったので致し方ない。
    http://www.comiccharge.jp/pc/top.php

    まさに幸運な出会いとはこのこと。
    清原なつのにはSF作品も多く、筒井康隆の作品をマンガ化すること自体はなんら不思議ではないし、読者としては期待してしまう。
    清原マンガの知的な文体、潔癖さとエロスが同居した作風は七瀬をヴィジュアル化するにはぴったりである。

    しかし、待てよ。
    『家族八景』というのは情景描写や心理描写よりも登場人物それぞれから溢れ出す怒濤の思念が重点的に綴られた特殊な作品である。
    とりとめのない思考の断片が羅列されたかのような小説をいかにマンガ化するというのか。
    いかな天才・清原なつのであろうと、ちょっと企画自体に無理がないか。

    そうした期待と不安はほぼ当たってしまった。
    なんだかんだ言って期待が大きかったせいなのか、最初はどうにもアラのほうが目について仕方がなかった。
    が、再読してみるとそう悪くない。
    下巻の解説で、筒井康隆自身が直木賞落選時の選評として「暗い、いやな話ばかりだ」と言われた(書かれた)作品としているが、確かに『家族八景』は暗い。
    これまで目を逸らしてきた自分自身の恥ずかしい側面を無理矢理見させられたような、そういう気分にさせれれる小説である。
    むしろ厭な気分にさせる力があるからこそ、小説は成功しているとも言える。
    その点は、マンガという表現の必然もあって、やや図式的になっている(よく言えば話が整理されている)とはいえ、清原版も成功している。
    筒井自身が解説で「原作以上の文学的効果をもたらした」としているのもうなずける。
    清原流のキャラクタ造形は期待以上で、特に七瀬を筆頭とした登場人物の女性たちは、みなそれぞれ原作とはまた違った魅力があふれている。

    ところで『家族八景』と一緒に、これまで買いそびれていた『千利休』も今さらながら買ったのであった。

    千利休
    清原なつの

    千利休

    2004年11月25日発行
    本の雑誌社
    1700円
    http://www.webdokusho.com/kanko/zassi-kankou11.html#rikyu

    清原なつのが描く千利休の伝記マンガ。
    後書きによれば他社で刊行間近までいきながらぽしゃった企画を、近年、清原なつのと縁が深い本の雑誌社が単行本化したものらしい。
    全体はエピソードの積み重ねで、直線的なストーリテリングではないのだが、読後には利休の人物像が浮かび上がってくる。
    古田織部を主人公にした山田芳裕の『へうげもの』(モーニング連載中)のような作品を想像してはいけないが、影響を与えた可能性はある。

    ここでもやはり女性の登場人物は魅力的だ。
    いや、男性キャラクタに魅力がないわけでなく、清原なつのの描く女性に弱いのだな、自分が。
    しかし、作品内容とは別のところで、どうにも困った。
    読むのに時間がかかるのである。

    これは作者の責任ではない、自分の教養のなさのせいである。
    逆に言えば、教養を要求するマンガなのだ。
    ここで言う教養とは、文字から得る教養だけに限らない。
    一般常識的一般教養的日本史知識があってもだめなのだ。
    日本各地の美術館で、茶道においては基本とされる陶磁器、書画、茶道具など、名物の数々を自分の目で見ていなければ、本当の意味で物語が頭に入ってこないのだ。
    テキスト主体の知識があったとしても、だめ。
    『日曜美術館』を毎週見ていても、だめ。
    「本物」が目に焼き付いていないと、だめである。
    期せずして、そういう読者の教養度を問う作品になっていると思う。

    わたしなんかは、武器商人・政商の顔と芸術家・宗教家の顔が同居している当時の茶人たちが、どうにも「理解」できなかったりする。
    これはきっと近代的価値観から離れられないからなのだろうが、もしかすると「煩悩」が足りないのかと思ったりもする。
    諸星大二郎『孔子暗黒伝』の終わりのほうで、孔子は「あなたは知識に饕餮(とうてつ/あくなき貪欲)な方なのです!」と顔回を慕う女性からなじられるが、それでいくと、利休は「美に饕餮な人」という気がするのだ。

    —————————————-
    書き終わったあとでこんなものを見つけた。
    これは珍しい清原なつのインタヴュー(本人写真はなし)
    http://books.yahoo.co.jp/interview/detail/31457484/01.html